テーマ:式神の城

リターン・トゥ・式神の城外伝 月光城(1)

この作品は海法紀光が式神の城3XBOX360版(2007年12月12日発売)の販促のため書いた。日々更新の予定である。 /*/ 中東欧の小国、アルカランド。熊本県とほぼ同じ大きさの小国である。経済的価値は無きに等しく、電力はロシアとボストニアに頼る。 つまるところのド田舎極まりない僻地。 さりとてド田舎であることと満…
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55 式神の城コース4 小夜のささやき

 光太郎が目を覚ましたのは、2日後のことである。 魔力の消失は止まっていなかったが、皆は大いに喜んだ。 良い兆しに、思えたのだった。 小夜は、光太郎に近づかせてもらえなかった。 遠くから月子が子供のように泣くのと、ふみこがドイツ語でわめいた後で光太郎の頬を叩いてどこかに走っていったところを見ただけだった。  それで小夜…
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最終日(夜)46 コウタロー&アプロー どかんどかん

 鍋の国は、祭りの中にある。 一組の男女が人ごみの中を歩いていた。 「それでへんなアイドレスを見たんだよ。人型をしていない、そんなやつだった」 コウタローは、今日の仕事の話をした。 「帝國のアイドレスかな」 少し面白くなさそうに、アプロー。 「それだったら撃ってくると思うんだよな。機位が安定してないから支えたんだ」 コ…
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14日目(夜)45 式神の城コース4 どかん

 光太郎は祭壇の上で、昏々と眠りについている。  金大正は光太郎を中心として部屋全体に大きな術式を書いた。 蝋燭を立て、豚の頭を並べ、あらゆる方向に色を置き、香をたいて印を結び、呪いを遷そうとした。  何事かを唱えた瞬間に電撃とも小さな爆発とも言えるものが発生し、動かぬ金大正の身体を揺らした。金の血が、額から飛んで、白い床…
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11日目(昼)32 式神の城コース

 光太郎はその日、軽い疲れを感じてバイトを抜けて、早めに家に帰った。 小夜は心配したが、光太郎は笑って大丈夫、大丈夫だってと言って、家に帰った後玄関先で昏倒してそのまま深い眠りに入った。 息を短く飲み、光太郎さん、光太郎さんと声をかける小夜。触るかどうか考えて、肩に触れて顔が青くなる。 魔力が急激に減り始めていた。 /*…
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3日目(夜)7 式神の城コース2

 小夜が泣いたのは、少し意外だった。 光太郎がおたおたするのは面白かったが、その一方で女としては少し、面白くない。 結構複雑な、ふみこだった。 考え事をしながら廊下を歩く、ふみこ。立派な日本屋敷の廊下である。 「ミュンヒハウゼン!」 「はい、お嬢様」 「小夜が昨日今日で、見たテレビ番組、分かる?」 「いつもならワイ…
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1日目(夜) 式神の城コース

第6世界、2008年11月30日  自動車雑誌を広げて庇にして、光太郎は広大な庭の見える縁側にいた。 豊かな魔力を使った魔法でシールドされ、冬の風は遮断され、そうして光太郎に、ひと時の安らぎを与えていた。  安楽椅子に揺られながら読書するふみこは、読書の手を休めて光太郎を見て微笑むと、そっと毛布をかけてやった。ついでに雑誌…
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リターントゥ神々の宴(27)

 光太郎が相田翔の死を知ったのは、ゴールデンウィークが開けてからのことである。 月子と兄と、祖父と幸せなと言っても良い連休を送った光太郎は上機嫌で登校し、そこで事実を知ることになる。 万事に遅い光太郎は、死ぬという意味が、この頃まだ分かっていなかった。 周りが沈痛な顔をしているのを、彼はなんでと、聞いている。彼にとっての初…
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リターントゥ神々の宴(26)

「これからどうされる?」 まだ消えぬ炎の中で、壬生谷志功はたたずむ英太郎にそう言った。 「何も」 そう答えた後で、もう少し考え、そして口を開く英太郎。 「何もしない。後、どれだけ生きられるか分からんが、静かに生きるさ」 「人間のようなことを」 英太郎は何も答えなかった。仕事の上と思っていたし、戦術上正しいとも思っていたが…
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リターントゥ神々の宴(25)

 雨が、降っていた。 男の黄金としかいえない金髪が、雨に濡れて輝いていた。 目の前の崩落した高速道路を見、その先に目をやる。 千葉昇を見ずにロイ・バウマンは腕を伸ばし、指を二本立て呪文の詠唱を始める。 「黒よ、黒にして黒たる我らの王、偉大なる暗黒、疾風なるもの、黒にして真珠たる我は計画の変更を要請する。そは悲しみを砕く黒の一…
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リターントゥ神々の宴(24)

一方その頃。  光太郎と月子は、もう寝る時間だった。晋太郎も英太郎も、子供を大人の時間に生きさせるようなことはしない。だから光太郎は今でも9時になると眠っていた。土曜だけは夜更かしが許されて10時に寝ることになっていた。  光太郎は、この頃も寝るのが大好きである。9時近くになると進んでパジャマに着替えて布団の上で転がっていた…
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リターントゥ神々の宴(23)

 高速道路上にいくつも火があがる。火の一つに一つの命が、あるいは家族がいただろう。 魔法が弱くなるということは、こういうことか。あるいはもっと上手いやり方があるのではないか。犠牲などないような、そんなやり方が。 義手が幻の痛みを生み出す。ゆかりと一緒に死んだ腕を思い出した。 英太郎は表情を殺すと、今は目の前の戦いに集中する…
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リターントゥ神々の宴(22)

 その日、その時刻、相田家は家族旅行で車の中にあった。 陽気な父は嫌な予感がする娘二人がとめるのを優しく笑って無視して、車を高速道路に乗せている。 「今日は空いているな。大ラッキーだ。やっぱり幸運の女神が3人もついていると違うな」 父はそう言いながらハンドルを切る。定時きっかりに会社から帰ったところで次女にして末娘の翔がひどく…
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リターントゥ神々の宴(21)

その日、妙に首都高速道路は空いていた。大型連休の前日夜にもかかわらず、である。 それが火車との戦いの、第2幕のはじまりであった。 /*/  長い長い術式が記述された巻物が、八帖、高架道路一面に広げられている。 それは夜の闇でも淡く輝き、多くの車を除けていた。 運転手は知らぬ間にハンドルを切り、高速道路を通らずに下の…
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リターントゥ神々の宴(20)

 晋太郎は千葉昇の事を伝えるために祖父に念を送ると、目許も鋭く歩き出した。 歩く途中で精神を落ち着かせ、優しい、誰もが知る晋太郎の表情になる。 その精神力は尋常ではない。彼は病から来る平時の痛みにも耐えて、優しい晋太郎であり続けることが出来た。  相田みなおを見つけ、また一緒に歩き始める。 祖父から念が届く。光太郎は祖父の家…
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リターントゥ神々の宴(19)

「お久しぶりです」壬生谷と呼ばれた男は、表情のない男だった。 「じいちゃん、この人誰?」月子にかばわれながら口を開く光太郎。 英太郎は底知れない、表情の読めない表情を浮かべた後、にっこり笑って口を開いた。 「知り合いじゃよ。さ、泣き止んだな。おやつを分けて仲良くするんだよ」 「じいちゃんは?」 「仕事じゃ」英太郎がそう言うと、…
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リターントゥ神々の宴(18)

 月子はあわてて跳び起きた。 コウに寝ているとこを見られるのが恥ずかしかったし、それにコウは、泣いていた。 疲れているなどと言っていられない。 月子の心の中の泉から元気が沸き上がり始めた。 後の後の後までも、月子が光太郎をかばって死ぬその時まで、月子は光太郎が元気を無くすたびにそれを守るために深く意識することもなくほぼ自動的…
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リターントゥ神々の宴(17)

 光太郎は、泣いていた。 この頃の光太郎は満足に文字もかけない。ようやく、9歳にしてはじめて、月子という漢字を覚えた頃だった。 だからバカと言われることは慣れていたが、家族旅行にもいったことがないと翔に言われたのは悲しかった。くやしいではない。悲しかったのだった。彼には兄以外の家族は事実上いない。 祖父は優しいが家を空け気味で、母…
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リターントゥ神々の宴(16)

 一方その頃。 晋太郎は相田みなおと共に小学校に向かっていた。 「……ご、ごめんね。玖珂くんまでつき合わせて」 「いや、僕はただ、弟の顔を見たいだけだから」  本音過ぎて冗談にしか聞こえない言葉を言う晋太郎。 この人物、元はさほど弟を可愛がっていたわけではない。というか普通くらいに弟を可愛がっていたのだが、そのうちに父と弟の不…
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リターントゥ神々の宴(15)

 光太郎が翔を見る表情は、険しかった。心配で顔が、こわばっていた。 翔はその表情を見た瞬間、今までの葛藤全部綺麗に投げ捨てて機嫌を直した。褒められた時の子犬並みのすばやい反応であった。年齢相応と言って良かろう。光太郎も幼かったが、翔もまた、同じくらいには幼かった。 「大丈夫?」 「だ、大丈夫」  光太郎の質問にそう答えた後、…
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リターントゥ神々の宴(14)

場面は、小学校に戻る。  相田翔は光太郎と仲直りするつもりだった。 するつもりだったのだ。朝までは。 光太郎が、知らない誰かと仲良く遊んでいる所を見るまでは。 それを見て発作的にうずくまった瞬間、翔は10歳にして初めて知識としてではなく、実感として、自分が女だと言うことを知った。 自分が光太郎のことを好きだと言うことに、…
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リターントゥ神々の宴(13)

 兄と別れ、元気に光太郎は校舎に入り、教室に入り、そして席に座りもせずにかばんをほうり出すと上機嫌で友達を探して話しかけようとした。 大きな音。 教室に入って来た、相田翔だった。光太郎は振り向いて笑って見せた。 翔、顔をそむける。 「はん、兄貴なんかと学校来て、恥ずかしい」 翔は大声でそう言うと、そっぽを向いて席に…
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リターントゥ神々の宴(12)

 1時間の後、光太郎は祖父、月子と一緒に祖父の家に戻った。 いつまでも遊びたいが、公園の傍で住むじいさんは、7時を過ぎるとすぐにこらぁと怒鳴るし、祖父は何も言わない人であったが、光太郎としては兄晋太郎と学校に行きたいという気分もあった。ついでに相田翔に月子を紹介したくもある。自分と仲の良い翔なら、月子とも仲が良くなるはずだと思って…
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リターントゥ神々の宴(11)

 その日、月子が目を覚ますと、光太郎がニコニコ笑っていた。おはよーと言う。 即座に目が醒め、顔を赤くして月子は毛布で身を隠した。 この方面では、月子のほうが光太郎よりもずっと大人だった。正確には大人になったと言って良い。 数日で光太郎が変わったように、月子も変わっていた。強く光太郎を意識するようになった。彼女が最初に覚えた日本語は…
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神々の宴感想板

青の章の小説再開+感想板は調整あるんで少し待ってください。 こちらはリターントゥ神々の宴の感想板です。 質疑応答は別スレッドがありますのでそちらでどうぞ。
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リターントゥ神々の宴 質疑応答板

はじめに  リターントゥ神々の宴は無名世界観を知らない人でも読めます。(これは、このお話だけで完結する作品です) もちろん、無名世界観に詳しければ、にやりとすることもありますが、あくまでそれは極小さな楽しみにしか過ぎません。  分からないことがあれば、この質疑応答板までどうぞ。今後、無名世界観入門書作成の前段階準備としてにあわせ、…
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リターントゥ神々の宴(10)

/*/ 第1話 /*/ 1999年4月27日。  夜の大東京市に広がる影は、ネオンが明るく輝くほど暗くなり、光射さぬところの 闇を濃くしていた。  遠くから明かりが一つづつ消えていく首都高速道路。 全面通行止めとなったその中で、軍服姿の魔女、ふみこは箒を一本だけもって立っていた。 その前方50mには車止めと対車…
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リターントゥ神々の宴(9)

 数日で光太郎は変わってしまった。 学校で女の子の髪をひっぱったり、牛乳飲んでいるときに変な顔をしたり、この年になっても取っ組み合いの喧嘩をやっていたりしたのを、やめた。 今だ背は低く、格好は相変わらず子供っぽいものだったが、眼差しは変化した。少なくとも表層上は、つれなくなった。授業が終わるか終わらないか、あるいはまだ授業の…
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リターントゥ神々の宴(8)

2時間後。  手を繋いだまま寝ている幼い光太郎と月子の二人を見て、猫の絵柄のタオルケットをかけると晋太郎は微笑みを浮かべたまま、祖父の待つ居間へ行った。 祖父英太郎は、優しく笑っていた。 「また背が伸びたか」 その問いに、晋太郎は光太郎を省みてうなずいた。 「ええ」 「体重は落ちたか」 「はい」 優しく言う晋太郎…
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リターントゥ神々の宴(7)

光太郎は、即座に兄の真似をした。偉そうに月子の前に立ったのである。 なんの表情も伺い知れない瞳で光太郎を見あげる月子に、光太郎は笑って見せた。 「俺、光太郎。……お、お前の兄ちゃん」 そして兄がするように、手で月子の頭を撫でた。 じっと光太郎を見つめる月子。光太郎はおかしいなと思いながら一所懸命、撫でた。月子の髪が、ぐちゃぐ…
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