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zoom RSS 外つ歌:黒い二人組

<<   作成日時 : 2019/02/02 00:26   >>

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 ユラ・フルムーンだけでなく、多くのピロット族は勘違いをしていました。草原にいる最後の避難民まで助ければ、あとは大丈夫だろうという勘違いです。
 実際には、放射線被害など知識として知りもしない人物たちが、かなりの数草原にやってきていました。
 他方、戦争を見に酔狂な見物客がやってくるとはピロット族の常識的に言って全くあり得ない話だったのでした。彼らにとって戦争は、もっと厳粛なものだったのです。

 ピロット族の常識、その間隙を突くように、草原を歩く二人組がいます。一人は目が見えず、一人は男性機能を失っていました。

 腰までの高さの草を掻き分け、あるいは腰の剣を振るってリベカは謎の高笑いを聞きました。
「そこまでだ。待たれよ」
 後方からの声。
 リチャードの手を引きながら振り向いたリベカは、そのまま顔を笑わせました。
 小さい黒づくめの男の子が、腕を組んで立っていたのです。
 彼は言いました。
ーーそれが世界の危機ならば、それを阻止するのが我ら影。
 拙者の名はロジャー、ロジャー・バウマン! 友を守る最後の砦!世界忍者!
ーー小さい子かい。
 リチャードはリベカに尋ねました。
ーーうん。遊んでいるのか逸れているのか。えーと。
 自分の趣味のためならば、人を殺すことなどなんら躊躇もない二人でしたが、子供や女性には妙に親切なところがありました。この時もそうです。
 リベカは微笑んでしゃがみこむと、口を開きました。
ーーここで戦争が行われていると聞いてきたんだけど、なんか知らない?
ーー対核忍術を習得していなければこの先は通れないでござる。
ーー関所でもあるのかな。
リベカがリチャードの方を振り向くと、その時さらなる高笑いが耳に入りました。

ーーいょぉぉ。ポン、それが世界のぉ危機ならばぁぁ、それを阻止するのがぁ我ら影。
拙者の名はリン、リン・バウマン!義を守る最後の砦!世界同心!
ーー今度はおじいちゃんが出てきた。
 弾んだ声でリベカが言いました。
 自分の趣味のためならば、人を殺すことなどなんら躊躇もない二人でしたが、子供や女性に加えて剽軽なおじいちゃんには妙に親切なところがありました。この時もそうです。なんだかんだ言って親切なところも多いのでした。

ーーこんにちは。演劇ですか。実は私も旅の踊り子で。
 リベカがそう言うと、老人は皺深い顎を揺らして笑って頷くと、文句を言いそうな少年を肩車しました。
ーー演劇というほどでもないが、芸を嗜んでいるのは確かな話。この先空気に毒があるゆえ、もし先に行くなら大きく迂回して砂漠側にまわるか、危険だが戦場になっている惨劇の山を行くがよかろう。
ーーそうなんですか。毒……
 リベカが呟くと、リチャードは手を引いてリベカを胸元に抱きとめました。
ーー不死者ならやりそうなことだ。死なないのだから毒にも当たるまい。
ーーええ、じゃあどうすのさ。
リチャードは虚空に顔を上げて、老人に声を掛けました。
ーーご老人、今の言い方では草原は戦場でないということだろうか。
ーー左様。我が輩(ともがら)が不死者たちを倒し申した。用があるならお連れするが?
ーー是非是非。
 二人はそう言って、奇妙な孫と老人とともに行動をともにすることにしました。





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