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zoom RSS 外つ歌:眼鏡の補給士官

<<   作成日時 : 2019/01/27 00:08   >>

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 倉庫の中でヤガミは面倒臭そうにタオルを捨てると、着れそうな服を探しました。
 青はにこにこ笑いながら、その様子を眺めました。
「ここは地上、そうだな」
「そうだね。聞いてなかった?」
 ヤガミはニーギがまともなことを言うか? という顔をした後、イチゴ柄のトランクスを穿きました。ズボンは太めでしたが、ベルトでどうにかできました。
「俺が死んだ場合は一時間でバックアップから生成されたと思うんだが」
「実はそれですらないんだ。ヤガミは死んでない。機械的には、だけど」
 計算通りにヤガミは機体とともに燃え尽きるはずでしたが、マヘラ姉ちゃんの八つ当たりにより、軌道が狂って一部は燃え尽きる事も無く地上に届いてしまったのです。
 ヤガミはそれを聞いて、肩を落としました。
「本船では俺は再生されているだろう。つまり――――」
「分離しちゃったと」
「そういうことだ。もう少しで結婚できそうだったんだが」
「その言葉、どこまで本当か分からないけど、そっちは船の方のヤガミに任せて、新しい恋を探したら?」
 ヤガミは眼鏡を輝かせた後、眼鏡の底の目で青を睨みました。
「前に俺が言ったこと、根に持っているか?」
「うん」
 青は素直に頷きました。何年も前に、ヤガミは新しい恋でも探せと青に言ったことがあるのでした。
 ヤガミは苦笑して頭を掻き、まあ、恋人が二人になったら悲しいよなと言いました。これについて彼の口から何かが言われることは二度とありませんでした。

「戦況はどうだ」
 ヤガミが尋ねると、青は少し悲しげな顔をしました。
「良くはないかな。まだ、もう少しは」
「希望号の動かせる距離まではまだかかるというわけだな。俺が露払いしてやりたいが」
「生身じゃ新世代のI=Dは無理だよ」
「そう、無理だ」
 ヤガミはそう言ってようやく見つけたイエロージャンパーを着ました。
「しかし、損害は無視できない、と」
「飛行長でもやる?」
「まずは状況の把握からだ。それで勝つのに必要な部署の仕事をやる」
 ヤガミは生身になって自分の暗算能力が低下しているのを嘆きつつ、関数電卓を叩きながら紙のノートに計算結果を書いて事務用コンピューターも無いのかとこぼしました。
「武器は一杯あるんだけど……」
 青の言葉に、ヤガミは肩をすくめました。
「戦争は弾を撃つだけじゃないぞ」
 そう言った後、これでどうだとヤガミは計算結果をまとめ、会議を行いました。

 会議の席上でヤガミは言いました。
「つまるところ、山岳戦での尋常でない損害の原因は二つだ。一つ目に悪路走破に失敗して足止めを食らってやられている。二つ目に火力不足でやられている」
 会議の参加者たちであるピロット族は、分かってるよという顔をしましたが、ヤガミは首を振って叩きました。
「分かっていない。装備もそうだが戦い方も間違っている」
 ヤガミは言いました。
「当面の目的は敵の制圧ではない。敵前線の突破だ。勝てない敵とは戦うな。後続のための道を作れ。そのための戦闘を行え。悪路走破については当面足回りの変更で対応するが……」
 ヤガミは自分のノートをめくってエンジンを指さしました。
「根本的にはエンジンの出力不足が原因だ。整備と掛け合って出力強化が可能か検討する」
 そしてヤガミ自身は補給官となって前線を支えることとしました。

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