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zoom RSS よんたとリワマヒのバレンタイン。

<<   作成日時 : 2013/04/27 02:04   >>

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 広大な砂漠の真ん中で、森精華は体操をはじめた。ラジオ体操。肩を廻す。
 後ろに並ぶ宰相府の自動機械達がマニピュレ―ターを一斉に廻す。

 髪の伸びた森精華はまだ薄暗い空を見上げ、白い息を吐く。
 後ろに並ぶ宰相府の自動機械達がセンサーを上に向けて、一斉に上空を捜索した。
 FVB所属の冒険艦が、大気を削りながら衝撃波を生成している。そうして生成した衝撃波の上に乗って、冒険艦は荷物を入れた砲弾をリリースした。人間の目にそれは、流星に見える。
 やけにゆっくりした流星なので、願いの一つでもと森は思ったが、やめにした。目を細める。太陽が姿を見せ、気温が急激にあがりはじめる。

 曙光は矢のように砂漠を撃って、その真の姿を露わにした。砂漠の中に宰相府の自動工場がある。
 森精華は自動工場から続々生産される兵器を眺めた。およそ、兵器らしからぬそれはバイクのスクーターのようであり、それでいてニュートン式の反重力装置を装備していた。
 同時に、数万のIイルミネ―ターとただ一つからなる僕のエクスカリバーと刻印されたタブレットが自動工場から出荷されはじめた。
 森はサンプルで手に取ったIイルミネ―ターをゆっくり装着。髪を分け、うなじを露わにし、首筋に今も残るウォードレスコネクターにデータリンクケーブルを取り付けた。
眼前に浮かび上がるパスワード認証画面。5121と入力。左手の根本に眠る多目的結晶を起動させた。赤い目を開き、主人を見上げる多目的結晶。通信機能が目覚め、ナショナルネットに自動接続する。

 世界が、明るくなる。Iイルミネ―ター上に帝國全域のセンサー類が拾った情報が表示される。
 森はそれで、流星がコンパスローズという冒険艦であることと、艦長の名が黒川であることを知った。自分宛によんたのチョコが砲弾に包まれて自由落下していることも。
 森は手を動かして自動機械達を走らせてチョコの回収に向かう一方、残る自動機械達にテントの設営を命じた。

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 海法は馬車に乗ってゆっくりとリワマヒの丘を下っていた。ここまで来れば保兎庄まであと少しだ。繁茂によって育つ青々とした麦畑を左右に、海法は”つば”の広い帽子を少し指で持ち上げた。

「花火の人だ」
「花火の人が来た」
 保兎庄の小さな人々が、海法の馬車に駆け寄って来た。小さいも小さい、まだ子供である。だがこのあたりでは子供も農作業を手伝うのが当たり前とされた。
「花火見せて」
「祭りやるの」
 海法は馬車によじ登っては勝手に横の席に収まる子供達に微笑んで、昔はチルをもやっつけた花火を打ち上げた。竜の形をして飛んでいく色とりどりの花火に、口をあけて見る子供達。
「そう。色んな人からチョコを貰ったから、わけてあげよう」
 海法は優しく言った。贈り物は、原初の魔法である。それは加護の魔法である。
 子供達はもらえる物はもらう、ください。ありがとうと口々にいい、花火の人がなぜこの地に姿を見せたのか、正確なところを聞くのを忘れてしまった。

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 保兎庄の小さい家々の間を……半地下なので小さく見える……一人の女が走っている。
琥村祥子だった。佳々子と連れ立ち、家の一つのドアをあける。

 ドアの向こう、居心地の良さそうな暖炉の前には煙管を吹かせる海法がいた。安楽椅子を揺らし、みなとと話をしている。
「海法さん」
「チョコは贈りあっているかね」
「はい」
 祥子は佳々子と並んでそう言った。うなずく海法。
「では、旅に行かなければ」
「どこに」
 祥子は海法を見ながら言った。海法が灰色の外套を外していなかったことに、今更気付いた。
「門を開く指輪を探さねば」
 海法は短くそれだけを言った。

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 農民+アイドル、略して農ドルというかなりマニアックなジャンルの全一名からなる第一人者、アズキはプロデューサーである四方からチョコを貰ってホクホク顔であった。
 素直に喜ぶ、このあたりが人気の秘密である。チョコを食べるかと思いきや何故か神棚に飾り、それで背の低い家から出て、左右の青々とした麦畑を見た。見事な繁茂だった。
 嬉しそうに畑を歩き、手でまだ青い麦の穂に触れていく。
 触れながら、羅幻王国の方言丸出しで唄を歌う。大地の祝福と、豊穣を願う歌。
 元は農作業しながら娘達が歌う唄を、アイドル用に直したもの。

 しかしまあ、なんでまたリワマヒは植物に聞かせて欲しいなどと依頼してきたんじゃろ。
 アズキはそんなことを思った。もっとも、立派な畑を見て好きな歌が歌えるのだから、彼女としては文句がない。繁茂技術によるものではないという形が必要なのだと、星見司処の花火の人は言っていたが、彼女にはよく分からない。

 目を細め、育ったような気がする麦に微笑む。麦だけが観衆でもアズキは腐ったりしない。青く高い空を見上げ、心を込めて歌う。
 今度は花火の人に教わった森国人の歌を歌った。足下を珍しい小動物が駆けていった。


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