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zoom RSS 平穏のバレンタイン アイドレス(3)

<<   作成日時 : 2013/02/28 22:49   >>

ガッツ(がんばれ!) ブログ気持玉 13 / トラックバック 0 / コメント 0

 高原は混沌に抱きついて泣いていた夢を見た。頭を振る。
 右に回したのがいけなかったのか、声をかけたのが女性だったのがいかんかったのか。
 よろけながら寝室を出てキッチンへ。娘たちと妻がチョコを作っている。それで高原は苦笑して、ゆっくりと椅子に座った。

 長女の翠蓮が、振り向いて笑った。
「あー。お父さんお寝坊だー」
「寝坊だー」
「寝坊ー」
 しゃがみこんだアップルとオレンジが笑いながらオーブンの観察をやめて立ち上がって笑った。
「まったくだ。寝坊なんかするもんじゃない。悪い夢を見たよ」
 手にミトンをはめたアララが笑っている。ラム酒のたっぷり入ったカカオ・パンケーキ。
「雷鋼と鋼児は?」
「シロさんと修行してたよ」
「鋼児には早いんじゃないか」
「I=D操縦訓練は早いほどいいって」
 そんなもんかなと高原は思った。娘たちが並んで手伝っている様はいい眺めだ。なぜか涙がでたが高原はこれは嬉し涙だと思うことにした。

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 ピザ焼き職人の朝は早い。窯の余熱に時間がかかるせいである。

 青狸家の犬、コガは難しい顔でピザを焼いていた。
 サングラスをつけ、白い髭がピンと立っている。肉球で器用に皿を引き出し、焼いたピザの完成度に、ばうと言った。
「何、よく焼けたの?」
 母に似てコガの言葉がわかる静火は嬉しそうにそう言って、ピザを一切れかじっていった。涙目のコガ。おいしいとの言葉に続々青狸家の子供と母親が奪っていき、コガは最初から四つん這いながら絶望の前足ポーズを取った。
 遅れてきた青狸がなぜか涙を流しているので、きっと同じようにうばわれたんだろうなあとコガは思った。仕方ないので青狸と抱き合った。

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 猫のパルフェがチョコの箱を前脚で蹴って遊んでいる。
日向玄ノ丈は面白くもなさそうに、その光景を見ているが、わかりにくいだけできっと面白がっていると美弥は思った。それだけのことなのに涙がでた。
 子供が泣き出している。
「なんだなんだ」
 玄ノ丈と猫が寄ってくる。犬猫同時に甘えてきた気分。
 なんでもないと美弥は抱きつく。もふもふはいいと思った。

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 東恭一郎と室賀兼一は道ばたで苦笑しながら酒を飲んだ。
「あれ、僕たち泣いてませんね」
「たとえ世界が終わっても苦笑しかでないとか。おつかれーとか」
「いやいや、さすがにそれは」
 そこまでいって室賀はちょっと考える。
「これはヒントかもしれません」
「どうだっていいじゃないですか。まあ飲みましょう」
「ですよねー」
 室賀兼一はそう言いながら、今の発言がテンダイスかどこかに収録されないかなと願った。まあ、飲んで起きてまだ生きてたら、お願いしてみよう。大したヒントではないとは思うが、だからといって黙っていて良いわけでもあるまい。

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 琥村は佳々子とハイタッチして踊った。
 バレンタインチョコクッキーをたくさん、子供たちに渡したのである。
 千個作って全部完売、女の子的にはちょっと嬉しい。

「やったね」
 琥村は息を弾ませていった。
「うん」
 佳々子は笑った。
「よし、大きくなれよ」
 クッキーを渡した子供たちの無事を願い、琥村は言った。
「大丈夫だよ、きっと」
 佳々子はそう言って、酒を飲んで道ばたで倒れ込んでいる東をみた。目をそらした。
「でも、ああなるんじゃないぞ」
「佳々子ちゃんちょっと黒いよ」

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 ミサは百周した結果、総一郎と殴り合いの喧嘩をする気になった。
「いってきます」
 深くうなずく知恵者にそう宣言して病院に。頭の中での計画は、チョコを叩きつけめちゃくちゃになにか怒鳴りつける、あとは知らないだった。
 病室のドアを開け、やつれた顔を見る。ぽろぽろ泣いて計画性は崩れた。
「やつれないでよ」
「やつれたくてやつれている奴がいるか」
 総一郎はミサを抱き留めてそういった。

 計画はどうした。

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 地下から光が降りてきている。
 暮里あづまは涙を流していたが、自分でも意味が分からなかった。
 もしや暮里に何かあったのではないかと探すが、すぐに姿をみつけてほっとした。
「なんだ、そんなところにいたのか」
 あづまはそう言った後、自らの顔を隠した。
 暮里は濡れた髪で、蛇をマイクにして歌っている、だけなのだが、なんだかそれがいやらしく見えたのである。もちろん気のせいだ。

 蛇は尻尾をならしながら言った。
「こぶし足りんとちゃうか」
「演歌じゃない」
 暮里は言った。
「次は六甲おろしで頼む」
 蛇はきりりと言った。
 あづまは眺めていようかとも一瞬思ったが、眺めている間に時間切れしそうなので袖を引っ張って、とにかくええと、これと、チョコケーキを渡した。
「一緒に歌うか」
「六甲おろしを!?」
「んなわけないだろう」
 暮里は笑った後、あづまがなんか照れくさそうにしているので顔を近づけて唇を奪った。

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 公園を二人でデートしていると、蛇をマイクに歌う男がいた。片手に女を抱いてキスまでしている。
「あれは止めるべきだろうか」
 ヘイリー・オコーネルは泣いているような顔で言った。泣いているわけではない。そう見えるだけである。
「あ、いや、ヘイリーさん、あれは、そのままで」
 乃亜は旦那をとめた。まあ、あの二人はあれぐらいあったがいい気もする。気がするだけかもしれないが。
 旦那は難しい顔をしている。
「色々な愛情表現があるんだ」
 乃亜は言った。
「そうなんだろうが」
 ヘイリーは、そこまで言った後で苦笑した。
「すまない。自分は心配してしまうたちのようだ」
「……ヘイリーさんは、それでいいと思う」
 なぜか照れながら乃亜は言う。この二人のバカップルぶりも中々である。

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