バレンタイン・アイドレス(1)

バレンタイン・アイドレス(1)
 帝國の誇り、RTRが二百騎以上並んで、出撃の時を待っている。
 二百のRTRの前には二百の帝國騎士と四百の犬妖精が並び、大降下作戦の号令を

「いや、壮観ですね」
 善行はそんなことを言いながら夜継から貰ったチョコを食べていた。
 隣を歩く白石は、妻と娘に貰ったチョコを両手に持って食べながら歩き、うなずいた。
「わんわん帝國の各藩国の国民軍です。歩兵もすぐに揃います。十万人ほどですが」
「時間がない中、これだけ揃えられるなら大したものです」
「あと一週間あれば十倍送れたんです」
 白石の苦しげな言葉をさておき、善行は遠くの岩田を見た。チョコを持って踊る彼に動かされるように、5121仕様のRTRが4機歩いている。
「敵は強大なんでしょうね」
「帝國としては、どうにも負けるわけにはいかない戦いなのです。例えあそこに並ぶ全将兵が死んでも」
「なるほど。人型戦車じゃないので、どれくらい戦えるかは分かりませんが、ちょっとやってみます」
 白石は嬉しそうに笑った。
「すみません。恩に着ます」

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 いつかと同じように、いつかと同じようなチョコが届いた。若宮にはそれがどういうことか良く分かりはしなかったが、だがまあ、愛情は理解した。
 チョコを食べながら、帝國のウォードレスを着る若宮はRTRを見上げた。
「自分が帝國のウォードレスを着るとは思っていなかったな」
「……俺もだ」
 来須はそれだけを言った。鷹臣に貰ったチョコは、ポケットに入れてある。
「まあ、こういうこともある、ということか」
「……ああ」
 来須は帽子の代わりに仮面をかぶった。帝國製のウォードレスは昔使っていたものよりも頑丈で、どこか古代の騎士を思い出させた。

「で。帝國のお前は着らんのか」
 若宮は妹人を見て言った。里樹に貰ったチョコを今まさにほおばって食べていた妹人は少し待ってねと身振りで示した後、お茶を飲んで危機を脱した。
「いやほら、俺、ウォードレス苦手で」
「お前の剣の腕は万翼長に並ぶから何も言わんが、死ぬなよ」
「ああ。うん。大丈夫。一人も殺さないつもり」
 妹人はまろやかに笑ってそう言った。手には一本の小枝がある。

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