バレンタイン:ガンパレード・マーチ&オーケストラ

バレンタイン:ガンパレード・マーチ&オーケストラ

2000年 2月14日

 瓦礫の中、キメラのレーザーも届かぬ角度で、若宮は煤で汚れた顔の中で歯を見せて笑った。
 慰問袋の中にチョコを見つけたからである。

「とよたろうさんか」

「笑顔でいいね」
 人型戦車に乗ったままの速水が、戦車の腰につけたスピーカーから言った。笑っている。
「チョコを貰いました」
 若宮は優しく言った。そうか。と速水は言って微笑んだ。
「いい話だね。舞」
「我々にもきていたぞ」
 モニターから目を離さず、舞は言った。
「慰問袋にあった」
「そうか」
 速水は優しく笑った。戦闘直前なのに、こういう日もある。
「お前には2個だな。えるむというものと、みぽりんという者から来ていた」
「なんで知ってるの?」
 半分涙目で速水は言った。
「敵だ。戦闘用意。整備と医療を下がらせろ」
 舞は冷静そのものだった。顔はちょっと赤かったが。

 若宮は死ぬ前にとチョコをほおばった。愛情の味が少しした。これなら生き残る気もする。立ち上がり、よろけている森を支える。
「戦闘準備です。整備副長」
 森は慰問袋をあけていたのだ。
「分かっています。すみません」
「チョコですか」
「い、いわんと黙って」
「はっ。一生の秘密にいたします」

 見れば萌が、小さくガッツポーズをとっているのも見える。
 突撃の前に暢気なものだと若宮は思いつつ、ヘルメットをかぶる。
 こんな日があったっていいだろうとは思いはした。

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 同日。宮崎県北部。

 隠れて動物兵器の背に輸送物資を乗せて運ぶ源健司は、地面に落ちていたチョコを拾った。すばやく伏せて、左右を見た後、こっそりポケットに入れた。
「やべえチョコだ!」
 大興奮である。ダームと名前があるがこれは女神に違いないと思った。

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 同日。青森県青森市
 谷口は顔をひきつらせていた。これは、罠だと思った。自分宛てにチョコが届いている。
「ぽんすけさんか。おお、ゲームであった人に似てるな」
 谷口は縁起がいいような気がした。これを食べれば胃痛にも負けはしないであろう。たぶん。

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