短冊


 短冊を笹に飾るのは、日本にしかない。
出元を調べると江戸時代で。織姫も夏彦も芸が優れていたので、それにあやかろうという、まこと日本的考えであった。
なので、短冊に書く願い事は、本来芸事の上達についてである。それ以外の願い事を書いても、意味がないとされた。

 この日。芝村は自転車をこいで許可を得て竹林に入り、笹を切ってきて庭に置いた。猫が目を細めて笹にすりすりしているが、かゆいのか、臭いをつけたいのか、笹に思い入れがあるのかは、わからぬ。

分かるのは1時間前に冷凍庫に入れていたアサヒスーパードライが大変にうまかったことである。
30分でも2時間でもアウトなこの飲み方。格別である。このビール、適温が日本の全てのビールの中で一番低いのだった。


 さて、特になにもせずに30分ほども笹が風に揺れる様を猫と並んで見ていたが、どうにも寂しい気がしてきた。
やはり芸事の願い事も書かないと、いかんような気がしてくる。
二階から硯と筆を持ち出して、墨を摺って願い事を書くことにしたが、ゲーム作りをうまくなりたい。いい文章をかけるようになりたいの二つで、終った。打ち止めである。人間そんなに願い事などないのであった。まして芸事である。

二つだけ短冊のついた笹が、風に揺れている。


前より寂しい気がしてきた。


仕方ないので、そこは二十一世紀である。おもむろに猫とともにPCの席まで移動して、短冊書いてあげるので投稿してよしと、コメント欄を作った。
我ながら良く出来た考えである。猫はディスプレイにすりすりしている。 かゆいのか、臭いを付けたいのか、ディスプレイに思い入れがあるのか分からぬ。

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