七夕の祭

七夕の祭

 旧暦、すなわち太陰暦は月の満ち欠けを一月とした暦法では、四季は厳密に3ヶ月ごとに分離しており、一月から三月までが春。四月から六月までが夏。七月から九月までが秋、十月から十二月までが冬だった。

 七夕は、だから。それは立秋の後の行事であり、本来秋の季語である。

秋は実りの秋であり、再会と再び巡る季節でもある。秋のとば口にあたる七夕は、この国では新年と同様に大切な祭である死者を呼び、送る祭の一環であり、最初である。

七夕よりはじまり、秋の中頃である八月まで、死者は傍に滞在する。

 日本では古来より、この祭の間、死者を死者とは認識しない。だから食事も出せば、死者という言葉すら使わない。どうしても必要な時は、霊という言葉を使うが、霊だけでは生きているか死んでいるか、明示的ではない。実際、死者として扱うことを嫌う。


彼らにとっては、死は単に遠くに行っているだけなのである。そんな物では、人を引き裂くことは出来ないということなのだろう。
日本という不思議な土地の不思議な住民には、時折異常なまでに頑固なところがあるが、その一つの例は、七夕周辺に見ることが出来る。


 太陽暦が来て、仏教が来て、新政府が立って、名前すら変わり、色々なものがまざったが、中核は何もかわらずに、そこに存在している。

七夕は強固にただ再会のために振る舞うこの国の魔術である。この時だけは、世界の距離も、狂い出す。

                                         DA.ルグウェール 二十世紀の科学者

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