パート23(あと一回でアイドレス再開)

 遠く、是空がリプレイブックになる位ひどい目にあっている気がしたが、ダームは、がんばってくださいねと思った後、源健司にチョコを送った。

無事に届けばと、思う。

ひょっとしたら是空は、そのために戦って居るのかも知れない。

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一方その頃。

 ゴロネコ藩には続々とオリオンアームからの物資が届き始めていた。
完全重編成のリファインサイベリアン100機とそのパイロットたちが、それぞれの国旗をサイベリアンの肩にかけて到着し始めていたのである。

 その騒ぎを遠く、樹の下に見ながら、夜國涼華はいつも通りお茶を入れて夜國晋太郎の表情を見つめた。 樹の上の家は狭かったが、存外に過ごしやすかった。
晋太郎は不意に顔をあげて蛇の神の歌を聴いて微笑んだが、続いて、涼華に微笑み、うん。おいしいね。ガトーショコラにあうと思うと言って笑った。

 この笑顔、鉄壁のガードである。

夜國涼華はよかったと言いながら、いつか本気でにこりとさせてやりますからねと思ったが、表情では何も浮かべず、ただにこにこ笑った。

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 詩歌藩は寒くなったり、熱くなったりしている。
かつての火山騒ぎを懐かしく思ったが、寒いのはまあ、いいことなのだろう。

 花陵ふみは、チョコは蛇神に届いたかなあと心配していたが、神殿から景気のいい六甲おろしの曲が流れだしたので、多分届いたんだろうと考えた。

窓の外を見れば、チョコ太りと冬眠ですっかり丸くなったというよりツチノコになった蛇神がぴょんぴょん神殿から出てきたので、あげすぎたかと思った。

元に戻るのは大変そうだ。

見れば、吟遊詩人たちがツチノコを歌っていた。

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顔を窓から戻し、というか、面白がって外にでたかったが儀式は儀式。
こほんと言った後、花陵は目の前の男に言った。

「花陵・アマネセル・奏一郎へ」
「フルネームで呼ばないでいい」
「はい。チョコ。フェアトレードの」
「きいてないな。……まあ、一個も貰えないよりはいいな」

そう言った後、外を見る奏一郎。
ツチノコは転がって高速移動していた。

「道に積んである雪に突っ込みそうだな」
奏一郎は早速チョコを食べながらそう言った。温かい所から見物するつもりのようだった。

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 夜継は隠れて久保雄一郎を見ていたが、彼が幸せそうに彼の蛇を振り回しながらぼえーぼえー言ってたので、まあ、これはこれで、と思った。 が、チョコは被災したみなさんで食べてくださいと後日芝村に申し送った。

 芝村は慈悲深い顔で深くうなずくと、当然だとも、と言った。

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 リワマヒ国はもう少しで密林に戻る。

 和子は地下の寒いところで白い息を吐いて、棺桶のような再生ポッドを見ている。

――結局、リワマヒの病院でも再生設備は重すぎたのである。1基400t近くする。

顔に霜がついてないかとミトンの手袋をつけた手でガラスを拭いた。

良かった。

和子はそう思う。

いつ再生が終わるか、明示はされていない。いつかというのは遠いなあと、和子は思った。

義父からだとチョコを渡してからこっち、懐かれている”みなと”が顔をあげた。彼女は詩歌藩の圧倒的な声量と技量で流れる六甲おろしと春の音をはっきりと聞いた。

みなとが和子の袖を握った。

和子が横を見た瞬間、春の歌を聞いた。

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 蛇神が歌うのに合わせ、何千何万の吟遊詩人たち、音楽家たちが一斉に、手を合わせ、足踏みし、楽器をならし、曲を鳴らした。

詩歌藩の厚い氷が割れる様な、その音は全土に届き、春を呼んだ。

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