パート3

//アイドレス

 戯言屋は勇気がないと言うよりも、実際にあって話さないと間違いなくこじれると考え、単に豪華なチョコを普通の紙袋に詰めて投函するだけにとどめた。

 同日、彼は普通の紙袋に普通のチョコが詰められてポストに届いている事に気づいた。
その後は挙動不審で意味不明の日記をmixi上で書く予定である。

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 ベルカインは歪んだ笑みを浮かべると、マントを翻して黒衣の軍勢を連れて歩いた。
何を覚えているのか、愛鳴之では黒衣を聖なる色として僧兵が身につけるのを常とした。

走り寄る部下。
「人さらいどもは土場におるようです」
「処理しろ」

一言だけ言い捨て、自らは大混乱のさなかにある共和国へ向かうベルカイン。

 今は女の服を着た山吹は、チョコを抱いて走ったが間に合わず。太陽号を見上げてその手の上に乗り、ベルカインを追いはじめた。


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「アキ」
「あんだよ。俺は誰かに指図されるのが大っ嫌いだぞ」

アキは公園に寝転びながらそう言った。
隣に座り、鼻で笑う弓下アリアン。目の前に、おつまみセットと情報カードをつまんでおいて、指で揺らした。

「いや、ただの情報提供だ」

 情報カードごと、つまみを取るアキ。ばりばり食べながらカードを読む。

「はっ。人さらいね。んで、なんでお前はこれを?」
「最近、愛鳴之が討伐で動きそうでな。他国からの干渉は好きじゃない。まあ、子供持ってて人さらいを放っておくほど、俺は広い心を持ってるわけじゃない。そう言うわけで自国でケリを付けたいが、嫁に、荒事をそれとなく止められてな」

アリアンは自分も駄菓子を食べながら、そう言った。
半眼でアリアンを見るアキ。

「俺は身代わりか」
「いや。親友だ」

アリアンの駄菓子を奪って袋を振って全部食べるアキ。
立ち上がるアキ。
「貸しにしといてやるよ」

アリアンは苦笑した後、頼むと言った。

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 帝國宰相は酔っぱらいである。白髭になっても、その辺はかわっていない。
もちろんそれは、厳重に秘密のベールで隠されているが、ある意味全員が知っていた。

「このウイスキーはどこのだい?」
「よんた藩王から、よんた製のバーボンだそうです」

 秘書官やってる森沢からそう言われて、宰相はほうと声をあげた。

「そうか。食事がうまいところは、うまい酒は出来ないというけどね」

そして遠くを見た。まあ、たけきのもそうだったな。
森沢が宰相を見て、口を開いた。
「氷でもこっそり運ばせましょうか?」
「いや。まさか」

 宰相は香りを楽しんだ。複雑でかぐわしい、酒の匂い。

「香りが死んでしまうよ」

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