パート 壱

//NOTアイドレス

 是空は長考していた。すでに酒も食事も放り投げ、二時間以上も対戦ゲームしている。
ボードゲームの、サッカー、フットボールチェスである。

人類が作ったボードゲームの中でも、こいつはひときわ楽しい。サッカーしてる気になる。
無限に改良点を口に出してしまうこのゲームはすばらしい。不満が見えるまで遊びこむゲームは、そうない。

実際の試合は90分だが、こっちはもはやそれどころではない。三時間にすら届こうとしている。

全知全能をかけ、目を血走らせてスペースを探し、駒を運び、ロングパスとショートパスを連携させて電撃作戦を展開する。

ダイス目は異様に悪い、先制までされた。

だがあきらめてない。是空は燃えている。

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 松本テマリはチョコの箱をもって病室に顔を出した。

黒い箱の横に、チョコの箱を置く。

がんばってね。そうつぶやいて、もう病室を出た。

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 秋月壱葉はコートを厳重に着込み、そそくさと歩いた。
髪を切ったナツミとすれ違いに、そのトートバックにチョコを入れた。

びっくりして振り向くナツミ。

「友チョコです。がんばってね。……ずっと、応援しているから」

声だけが、場に残っていた。

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 蕗野冬はパトカーに追われながら、白馬を走らせる王子系を遠目に見た後、無理、あれは無理と手を振った。チョコ渡しにいったら、どう考えても自分も逮捕される。

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 長田馨は出張鳥、須田直樹に続いてキメラ……タンクバスターの砲撃の合間をくぐり抜けて走り出した。

半ば炭化した腕だけの無残な死体を見て、歯を鳴らす長田。

「ほら、あんたが書きたい奴だよ」

 須田は静かに言った。

「これを描きたいんじゃない。これだけを描かなきゃならないんじゃない」
歯を鳴らしながら長田は言った。持ってきたチョコを握りつぶしてないといいがと思いながら、そう言った。

「こんなことを、させたりは……」
「あ、そ。じゃ、ついてきな。島先生まってるから」

須田は、少しだけ笑ってそう言った。

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 榊涼介は幻獣との和解が成立した瞬間に、人と人が争う世界を見る事になって鼻白んで居た。

難しいなあ、難しいなあと言いながら介入の難しさを嘆いた。

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