パート4

//アイドレス

 Bヤガミは愛用の万年筆を使いながら、仕事をしている。
乱暴者は昔の話、今はデスクワークの達人とされる。

「現場にいきたくはないか?」
「いや、別に?」
「そうか」

 話す相手もヤガミである。通称ミサヤという。鍋の国にはヤガミが多い。
ヤガミとヤガミが話す。
ミサヤが眼鏡を取りながら口を開いた。

「逆に考えたがいいかもしれない。共和国でインフレが起きたと言うより、帝國で起きなかったという、物の見方だ」
「ばらまいた金は確かに向こうが小さいが、そうだな。向こうの保有アイドレス差は、ありうると思う」

Bヤが万年筆を滑らせながらそう答える。
瞬間手をとめるBヤ、妻に貰ったチョコを口に放り投げた。

むっとしたか、対抗してミサから貰ったチョコを食べるミサヤ。顔が険しい。
意外に甘い物嫌いなのがミサヤである。

「経済系職業を共和国全体の中のどこかが、取るように大統領府に依頼したい」
「それはもうやった。羅幻では商人や会社社長がいる」
「ふむ。インフレ問題はそれ以外が原因か?」
「金融関係だな」

Bヤの言葉に、ミサヤはうなずいた。

「よしそれだ。いってくる」
「夕食までには戻ったがいいな」
「未来予知か?」

Bヤは怪訝そうな顔をした。ミサヤを見る。

「俺の家ではすねられるが、お前の所は違うのか?」

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 竜宮司は一般的にお菓子おじさんとして知られている。
これは彼が暇を見つけては孤児院にお菓子を贈りつけているせいであり――実際の所、孤児院に居る一人だけが目当だったのだが――、一人だけに贈るのも気が引けて、盛大な出費と知りつつ、毎度孤児院全体にお菓子を贈り、結果お菓子おじさんという、あんまりありがたくない名前で知られるようになったのである。

「おい、お菓子おじさんからまた来たぜ」
「うん」

ユウタは生返事して恥ずかしそう。
少し、髪の毛が伸びていた。背も伸びたが、それで手足の細さが、酷く目立つようになっていた。

人差し指で前髪をくるくる巻きながら、いささか気恥ずかしそうに、チョコを貰う。
他の子供達は何も考えずに喜んでいた。

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 一方その頃。
仕事不足からしおしおでひからびそうだったド貧困アイドル、アレシア・アマデオは、年末の仕事もラジオ1本、しかも事前収録というがっかりの展開で年末を過ごし、そのまま二月に突入していたが、年末の様子を見て心配した竜宮がチョコを贈り、これを必死にかじって命長らえていた。というより、ぶっちゃけアルバイトにいくだけの体力を蓄えた。

竜宮司、お菓子おじさんの面目躍如であろう。

 アレシアは五体投地してお菓子おじさんを紫のバラの人のように敬ったあと、建設現場にいくぞーおーと腕をあげた。

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