電網適応アイドレスSystem4

アクセスカウンタ

zoom RSS 小説アイドレス 0401-2

<<   作成日時 : 2010/04/01 20:18   >>

ナイス ブログ気持玉 33 / トラックバック 0 / コメント 0

 花屋広場には、百万の杖を持った子供達が集合していた。
各地で、同じように杖を持った子供達が時をまっている。

号して、1億の子供たちである。teraの半分が愛鳴之というのは、誇張ではない。

「我らに国父が二人あり」

 先頭から一歩前に出た利発そうな少年が両手を胸の前で打ってそう言った。
「一人は花屋なり」

「一人は不景気そうな魔術師なり」

真っ白な髪のバルクは、それをきいて少し吹き出した。
こりゃばあさんを無理しても連れてくればよかった。

 子供達が一斉に両手を胸の前で打って見せた。

「一人は不景気そうな魔術師なり。父よ、何もありませんが、せめてこれを」

そうして一億人の体操がはじまった。杖を構え、杖を回す、一億の子供たち。
空中のモニターが、全国で体操を映し出していく。

「おお、だが私たちは貧乏ですよ」

バルクはやさしく、皺深い笑みを浮かべてそういった。
子供達が、一斉に笑った。統率はとれていなかったが、バルクはそれすらも楽しんだ。

/*/

一方その頃。

 かつては砂漠だった、緑の大地。

「雷電の群れじゃない。これは・・・・・・」
地面につけて音を聞く少女が不安そうに言うと、遠く、地鳴りを聞きながら、沈黙のアクドーは、眉も動かさずにうなずいた。御年10才のこの黒衣の王子は、父や祖父に、酷く似て必要最小限のことすらも十分には言わなかった。

「うなずいてないでいってください」
 アクドーは顔をしかめた。別にしゃべれないのではなく、面倒くさいのだった。
手が出るのはめっぽう速かったが、しゃべるのは面倒くさい。

「今日は愛鳴之が建国記念で体操をしている」

アクドーはそれだけいうと、代々山岳騎兵を務め、傍付きになった少女の頬を手でぬぐった。

「汚れていた。いくぞ」

雷電の群れが、アクドーを待っている。
マントを翻し、雷電の群れの先頭でかけていくアクドー。

触られた頬が赤いので気になり、ごしごしした後で、少女は老クール・ミントを呼んだ。

/*/

 雷電達の先頭にあり、アクドーはただ一人の人間の部下よりきらめく黒旗を受け取った。
縦横に振るい、風に長引かせ、千の巨大戦闘獣、雷電たちとともに、野原をかけた。

旗も雷電の足取りもそのままに、風景だけが飛ぶように変わっていく。

雪国がある。

 頬や鼻が赤い、耳当てをつけた子供達が、背伸びして遙か遠くよりくる王子を待っている。

「迷宮の挑戦者、見えました。あれこそまさに涼州の黒旗かと」
「だれが来ても同じだよ。ダンジョン皆平等だ。後ほねっこ伯爵領は、冒険者を歓迎する」

 先代にかわらず、利発そうな大きな王犬をなでる元藩王、今迷宮の賢者はそういうと、とはいうもの旧友の子孫の会うのを喜び、自ら迷宮の外にでて手を広げ、歓迎した。

/*/

 珍しそうに左右を見て歩く山岳騎兵の少女は、体格から別格の暁の少年達を見て、うっかり路地裏に隠れてしまっていた。

 暁の円卓の少年戦士といえばいずれも純朴で気がいいと言う話ではあったが、正直に言えば、怖かったのである。

「涼州には悪いが勝つのは俺たちよ」

 そう漏れ聞いて、少女はくいかけの林檎を投げかけた。
かけただけで終ったのは、少女に理性があったわけではなく、単純に止められたからである。

「おやめなさい。あやのさん」
「うわ、きも、何で名前知ってるのーーー」

「いや。種を明かせば、単に聞いていたからです」

うやうやしく頭を下げる吟遊詩人。古風ないでたちと年期の入った竪琴を見れば、すぐに素性がみてとれた。荘厳なる音の都、音楽にて王宮が立てられているという、詩歌藩の者であった。

「吟遊詩人」
「の、見習いです。王子でも見習いは必須でして。貴方の主人はどこですか? 旅の仲間というやつでして。話を、ききますか?」

「うちの王子、しゃべりませんよ」

少年は、にこっとわらった。
「まあ、その分、僕がしゃべります」

/*/

 一方その頃。

その年は暖冬で雪も降らず、皆が水着にハリセンで道を歩いていた。
外国では古風だったが、詩歌藩国は、内に向けてはいささか斬新である。

 火山活動で地表より余程暖かい湯気立つ海、沸騰海の岸には、美しい水龍達が並んでいた。鋼鉄の水龍たちである。

乙女達は水に入ると、水龍とともに楽しげに泳ぎ出す。

たまに馬や鼠も泳ぎはするが、この国はそのような小さなことは、問題ではなかった。


/*/

 一方その頃。

帝國を貫く一本の幹線道路。名をルート嵐、という。
かつての誰かの、誕生日プレゼントであった。

そこを、走る軽自動車がある。

 助手席には缶の人形を抱いた小さな女の子が一人。
母親が運転している。

「この道、おばあちゃんと同じ名前だね」
「そうだっけ」

母親は、運転に集中している。
うなだれる女の子。人形の右手をあげる。
「うん・・・・・・」

顔をあげる人形。
「ねえ、私もほねっこいけるかな。ダンジョンいってみたい」
「ダメ。塾にいきなさい」

母親は、現実的であった。
うなだれる人形。面白くない顔の女の子
「塾じゃ経験、できないことあるって、ポスターにあったよ?」
「あのね。うちの国は、暁とか、たけきのとか、ああいうファンタジー系人間やめました国家じゃないの。はい」
「一に勉強、二にマネー」
「よし」

母親はかわいそうになったか、夜はハンバーグにしようね、といった。

女の子は今までの人生で一番真面目そうにいった。
「缶で冒険いっちゃだめ?」
「あんたね・・・・・・」

/*/

 伝統ある、ああいうファンタジー系人間やめました国家。

そこには高い徳をおさめたデリシャス侍が、いくつも立つ尖塔の上に腕を組んで褌を閃かして、日々日夜、厳しい自己鍛錬をしていた。

「今日も、平和だな」
「ああ」

デリシャス侍たちのなかに、になし藩より越してきた騎士もいる。


褌――――ではない。

競泳用水着で、あった。

「迷宮にでもいくか。兄者」
「おお!」

そして新しい藩王につるされた。まだ迷宮は、遠い。

/*/

 そして宰相府は、今日も無人で運営されていた。

人など、必要はない。我が府には、猫たちと、ペンギンと、あと本があればよい。

 なんという傲慢。それこそが宰相府であった。
ちなみにこの発言をしたのは宰相の何千万番目だかの孫娘であった。御年9才である。今だ寝るときにはペンギンの抱き枕が手放せない。

ロボット達に給仕され、口元を拭くのは自分のロボットハンドで。

たった一人の食事相手、宰相が口を開いた。この人だけは、何も変わらない。
「そろそろ、人間に慣れるのはどうだね」
「厳密にはACEですね。もう第七世界人はいませんので」
「あんまりかわりはせんよ。いいからほら、人づきあいを覚えなさい」

「必要を感じません。私は本をたくさん読んでいます」

「ふむ。やはり、いささかそなたには難しい話だったかもしれないね」
「いきます。別に、ACEなんか怖くありません。猫の方が好きなだけです」

宰相は、遠い昔を想い出し、少し微笑んだ。

/*/

「迷宮は古い! 古すぎる!ついでにカビ臭い!」

 満天星藩王は、若い頃そのままの血気で、除幕式を迎えた。
へんにねじれた巨大遊園地が姿を見せる。

国民達が、うわだっせーと思ったが、おもわずへなちょこさ加減に、ちょっと笑った。
このひねくれかたには、どこか愛があった。完全が人間くさいとは、この国の建築物をみていくと、そうは思えなくなる。

にこりと笑って、藩王。お前達の考えることなどお見通しだと言う顔で、それでも得意げに笑って見せた。

「皆には太陽の下で、遊んで貰おう。今頃の子供は、あんまり外で遊ばないしね」

/*/

 子供などおらぬ超高齢国家鍋の国では、はからずも全ての国民が眼鏡着用になった。
女王の野望は、100年にして達成したのである・・・・・・!!

/*/

 元無名騎士藩国ではメタルボディ達が廃墟の中で草を植えていた。
二人の農民は西国人の娘を助ける途中でさらに助けられ、半世紀ぶりに二つの種族が協力することになった。

「ありがとう。おれの育てた大根だべ」
「我々は食べることができないのです」

今も無名騎士藩国を覚えているメタルボディ達はそう言ったあと、少し微笑んだ。
「でも、心は戴きました。

/*/

 都市船は、teraの海には、もう、ない。
紅葉国も、すでに海にはない。

 素朴な世界忍者国の人々は、だが空を見上げて紅葉国を思う。

あの星々のいくつかは、都市船で、そして紅葉国だと。

/*/

 半ば壊れたロイ像の足下で、風に揺れる若いトウモロコシを見ながら、少女は星々を見上げた。

足下では兄が、白い狼がまるまっている。

「パルフェは、あの星かな。お兄ちゃん・・・・・・」

兄は、知らん振りして尻尾をゆっくり振った。


/*/

 大きな猫が一匹、口を大きくあけてあくびした。
ぶっとい前脚をのばし、床をひっかいた。

 その前を、ハリコゴーレムが続々歩いた。

無視する猫。ハリコは、相手しても余り面白くはない。仔猫の頃はそれでもたくさん遊んだが、最近はそうでもなかった。

 ゴロネコ藩国は、今は宇宙の玄関口になっていた。
沖合に人工の島、一つ。そこが、オリオンアームとの玄関口だ。

ハリコゴーレムと、ついでに大きな猫をかかえて走り出す銀髪の子供。
「ほら、先生、いそがないと、初恋運輸の船がでちゃうよ」

いそぎなさいと親にいわれて、猫とゴーレムを抱いた子供ははーいと言った。

「宇宙にいっても、友達でいようね。先生」

猫は面倒くさそうに尻尾で叩いた。

/*/

「先生、おいとましようと思います」

 腕を組み、大小を下げたムラサメードに折り目正しく、言う少年。

「なぜだ?」
赤い髪の先生は静かに言った。胸が大きすぎるのが、少年にとって唯一の不満ではあった。目のやり場に、困る。

「お前には才能がある。いずれはイアイドにもなれよう。何故だ?」

「はあ、母が、くれはがですね。ちょっと手伝ってこいと。うち、母親強いんですよね」
「母親のほうが、わ……先生より大事だと!?」

「は?」

少年は顔をあげた。
すでに先生は足早に去りつつあった。

「あ、そ、わかった。もういい。もう知らない。破門だ、破門、ばか。どこにでもいっちゃえ。うわーん」

「……えー」

少年は、なんでキノウツンなんかに修行にやらせたんですかと、母を思った。

/*/

 璃加は、いきなり餓死しかけていた。
まさかシュップの店員が人間とは思わなかった。自動販売機を探して半日、ないことに絶望しかけている。

 し、仕方ない。人間と話すか、さもなけば帰ろう。
ペンギンのぬいぐるみを3つもかかえてぐるぐるの璃加の前に、林檎が渡された。

「どうぞ」

璃加の表情が変わる前に、大小をさげた少年は林檎を渡しながら、手早くいった。
「母のいいつけできました。貴方の迷宮探索を手伝います。 もう、全速で迷宮巡ってキノウツンに帰るというか謝るというか。あーもー」

一人、少年の悩みを持ってねじれた少年は、すぐに戻った。そう、僕は悪くない。全然悪くない。

「大丈夫、僕ロボットですから、怖くないですよ」
真っ赤な大嘘だったが、璃加はそれで、心の底からほっとした表情を見せた。
「よし、今日からお前の名前はペンゴー。いい?」

/*/

「ということで、聞いてますか。王子」

 あやのはこの頃、この面倒くさがりをどうにかするのが自分の使命だと、考え始めていた。

「うなずいてないで言ってください」
「1年に何度も喋る趣味はない」
「今、言ったじゃない!?」

もうだめだ。この人の頬をひっぱろう、そうしようと大逆罪覚悟で手を伸ばしたあやの、そしてアクドーの前に、真新しい缶が、転がってきた。

缶が、自ら立ち上がる。少し驚く二人。

「オス、俺、スチールちゃん、冒険手伝ってやるぜ」
「いりません」

あやのが間髪いれずにいう傍から、アクドーは肩に缶をおいている。

いらり。

口で言うあやの。
アクドーは黙ったまま、迷宮に向かって歩き出す。

/*/

「きたきた。わーかわいい」
「なに、そんな趣味あるの?」
「バカにしてるの、姉さん」
「そう聞こえないなら、大バカね」

だが迷宮を歩く、少年少女を見て、二人はほわーんという顔になった。
本質的に子供が好きなのだった。

「いくか、りんご」
「おうよ、みかんちゃん」

 二人は杖もって水着姿で突如迷宮の中に現われていた。
詩歌風といえなくもないが、時間犯罪だか時間警察だかも、少しは想い出させた。

びっくりする子供達を前に二人で並び、大笑いする双子。

「はい、私たち、1階のデンジャラスボス!」
「つっよいよー!」

アクドーが何か言う前に、肩が騒いだ。
「このスチールちゃんは強いよ! 強いよ!」

微笑むアクドー。
いらりとするあやの。

そして101番目の、ターンがはじまる。

<エープリールフール企画、終わり>

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ
気持玉数 : 33
ナイス ナイス ナイス ナイス ナイス ナイス ナイス ナイス ナイス ナイス ナイス ナイス ナイス ナイス ナイス ナイス
なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー)
面白い 面白い 面白い 面白い
驚いた 驚いた 驚いた
かわいい かわいい かわいい
ガッツ(がんばれ!) ガッツ(がんばれ!)
小説アイドレス 0401-2 電網適応アイドレスSystem4/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる