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zoom RSS 小説アイドレス 0401

<<   作成日時 : 2010/04/01 14:52   >>

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 アイドレス・ターン100。

この日。tera領域最大の塔、是空塔はゆっくりと花咲かせるように太陽電池パネルを展開し始めた。

 その高さは4000mを越え、広げた面積は全長100kmに及ぶ。

 広大で薄いこの電池パネルを吹き飛ばそうと、気まぐれに吹く巨大な風たち。
それを遮る、風を消しの12の塔が遅れて展開を開始する。実際の展開終了は、こちらが先になる。

 十二の塔には、FEG建国に尽力した12の共和制貴族達の名がついていた。

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 その一つ、あゆみの塔の上に巨大なシープドラゴンの姿が見える。
毎年、この頃になると決まって飛来しては、一日の間、その翼を休めるのだった。

 今年も、美しく巻いた角を見ようと、人々があゆみの塔を見上げた。

 太陽電池の展開でにわかに暗くなった世界。
電池と電池のわずかな隙間からいくつもの光の筋が広がっている。

 光の筋に照らされる、優しい目のドラゴン。

多くの子供を抱いた母親達が両手をあげ、竜に今年生まれた赤子達を見せた。

 確たるいわれがあったわけでない。だが、加護があると、多くの民は信じていた。

 地の果てまで子供を抱いた母親と父親が歩いては、竜を見上げた。
そして思うのだ。建国の頃の苦しかった頃を。

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 一方その頃。レンジャー連邦。

 ウイングオブ・テイタニアは巨大な玉座に座り、百万の民に昔語りをはじめていた。

 彼女だけが残されていたが、彼女は別に寂しくはなかった。
城華一郎の思い出は、彼女には正確に記録されている。

テイタニアは手を広げ、愛を謡い始める。

愛の永遠を。これだけはずっと、変わらぬように。


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 テイタニアの歌、FEGの祈り。
見事に育ち、古木の森となった玄霧藩は、それらを瞑想通信に受け取っては魔力に転換、それらを加護として世界中に魔法をかけ始めていた。

 長老、アポロディアスは半森国人ながらその職責をよく守り、円陣を組んで瞑想しながら微笑んだ。

 その加護の魔法はまずはすべての警官達に注がれることになる。

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 森国の子供達はセイイチローを愛していた。
男前ではあったが、あらゆる官職、公職につかず、森の奥深く森から森、はてはFEGの基部群まで歩いていく天然の漂泊者。

 セイイチローさま

まろぶように駆け寄る子供達を待つでなく、セイイチローは重い荷物を持ったまま、微笑んでしっかりした足取りで歩いた。

 俺に会うのの、何が楽しいんだか。

セイイチローは魔法など使わない。だが深い叡智に裏打ちされた言葉は一際子供達に人気があった。

おはなししてください。セイイイチローさま。とおいむかしのことを、ひろいせかいのことを。あなたがあったおおくのひとびとのことを。

 セイイチローは微笑んだ。

おまえたちの話もするように。

一斉にはいという声に、はじめてセイイチローは足をとめた。


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 その日の夜は、嵐であった。
森国の子供達は嵐の音を聞きながら、枕を近づけ、今日、聞いた話の感想をいいだした。

あのはなし、ほんとうかな

おおきなカマキリのくに

ほんとうだよ。セイイチローさまだもの。あのひとはうそはつかないんだよ。ぼくしってるよ。

あのくにのおうさまはどうなったのだろう。

あたまアフロなんだよ。きっと

あふろってなに。

わかんない。

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 かつて、騎士を名乗っていた国がある。
そこでは頭がボルトの狂った王が支配し、打たれたという、伝説がある。

 だが本当はその王は死んでおらず、嵐の夜にはさび付いた足を引きずって、ずっと昔に取り戻せなかった恋人の名前を叫ぶのだという。

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 で、幽霊退治なわけね。
母親が みなと いうふざけた名前だったので、自分の名前も変なのだと信じている こぶね はバカバカしいという顔で、話をきいた。

それで嵐の中、廃墟を歩けと、はいそーですか。では、リワマヒはうごきませんよ。金です。金ください。

栄光の野戦炊飯具の新型更新が遅れているんじゃないのといわれて、こぶねは黙った。自分は西国人だが、心は森国人のつもりである。そしてリワマヒは、100ターン目の今もなお工業化は遅れていた。

……ビルに囲まれただけの野蛮人。

そうつぶやくと、 こぶねは夜の嵐の中、歩き始める。


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 こぶねは、数時間で死にかけていた。
春だったので寒さを馬鹿にしていたのだが、さほど甘くもなかったのである。

唇は紫、すでに動くことかなわず、しゃがみ込んでじっとしていた。

いや、ぶつぶつつぶやいては、いる。

どうせ、うちは代々捨て子で親からの愛情なんてないし……
国は貧乏だし……

でも拾ってくれたのはどこの国でもない。リワマヒだ。

こぶねは顔をあげ、金のためにGENZの亡霊を殺そうとみずから幽鬼のように歩き出した。

金のために、死ね。幽霊。

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 ながみ村の朝は早い。
まだ夜のうちから、彼らは朝だと言い張る。

その耕耘機は、TLOだった。

巨大な二台のタンクが、今日も鋤を引いて動き出す。

「おんや、うちの娘センサーが動いてるべ」
「アシタ号は好色じゃのう」

センサーをのぞく二人の農民。

「この時刻であの方向じゃろくなやつじゃねえべ、廃墟しかねえぺよ」
「んなだなあ」

気まずい雰囲気。おしつけあうような。

「まあでも、王様の遺訓もあるしのう」
「グリンダ様だったらどうするべ」
「毛布と野菜だしてあやまるべ」
「そうしそうしよう」

二人の農民は、タンクのエンジンを切った後、雨合羽に毛布をくるみ、夜の道をかけることになる。

タンクでいけばよさそうなものであったが、古くから農作業以外は使ってはならぬと、そう初代の村長がきめていたのであった。

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 一方その頃。

teraに朝が来る。だが朝日を最初に浴びるのは、地上の人々ではなかった。

 宇宙艦隊であった。

 長く、teraに向けて剣先を向けて、もしかしたら永遠に来ないかもしれない時−− 再び動き出す時を待つFVBの壱千艦隊<サウザンドフリート>である。

 艦の真ん中にあしらわれた、桜花の文様が、見える限りに並ぶ。
それこそが帝國の守りであった。

 この日、見たこともない新型機が艦隊をぐるりと回るように飛んだ。懐かしむように。

 艦は新しかったが、ソフトウェアは、ひどく旧式だったのだ。

新型機は桜色に塗られた子機を続々と射出。

長い眠りについた友がらをなぐさめ、飛びさった。

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 舞うように飛ぶ新型機に寄り添って飛ぶ、透き通った翼の電子妖精達。
新型機にタッチして、微笑み、消える。

新型機は宇宙に浮かぶ目。今となっては内宇宙の交通管理システムであるヘイムダルの瞳達の支援を受けて、少しの人間くささを残して綺麗に姿勢制御。会合コースに乗った。

こちら、ユーシン084。ブルードラゴン。聞こえるか。

こちらブルードラゴン。意味不明の出迎えを受けた。

あら、つれないのね。

 新型機は会話を強制終了。巨大な艦影に接近する。


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”こちら、CVSー100 キャプテンタルク。帝國の剣が護衛につくとはありがたい。”

”貴艦の艦名は帝國の艦長の名である。帝國の心をおもんばかりたし”

”へぇ! アニメキャラと思ってたよ”

 帝國は本当にそれだけが理由で、今回支援を行っていた。

宇宙ステーションから放たれるレーザー照射を受け、1000万以上の民を乗せた移民藩国船が動き出す。

 続いて、FEGから巨大レーザーの射出。

teraから背を押されるように、新しい藩国が動き出す。


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その日、若木がようやく森というよりは林を作る国の小さな病院で、ソウイチローは、目をしばたかせながら外に出ていた。息子を、探していたのだった。

目当ての姿を見かけ、口を開く。

セイイチロー、妹が生まれたぞ。
どうしたんだ、空を見上げて。

 未だ小さいセイイチローは、上を見たまま言った。

空を見ていれば、しあんが元気に生まれてくるかなって。……あと、涙拭かないでいい。

父親は息子の頭に大きな手を置いた。微笑む。

弱虫だな。お前は。大丈夫だよ。

         <第一部終了 第二部は20時から>

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