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zoom RSS 小説アイドレス(涼州記1)

<<   作成日時 : 2009/10/19 15:23   >>

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(0)承前

 何も映さない空がある。ただ音だけは、聞こえていた。
遠い轟音。 人々は不安そうに空を見上げ、ただ音を聞いていた。

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 蒼龍が、国を変えた。所属国を星鋼京から宰相府藩国に変えたのだった。
戦場へ行く空の、誰にも見えない境界を越えるためのことだった。

人には誰も見えなかったが、蒼龍は今、一線を越えた。

 船体が赤くなる全速力、燃料を桁違いに使いながら、長い長い加速を取る。
普段から燃料が漏れる燃料タンクが、熱膨張によってきっちり閉鎖され、真に燃料タンクとなる。この機体は、ことの最初からその速度域こそを本領とするよう設計されていた。

大気速度、マッハ25。

 この速度では取り込む空気に燃料を混合して燃やすことなど出来はしない。
それをするためには取り込んだ空気を減速させる必要がある。

蒼龍には、それが必要ない。彼女は大気を必要としない。彼女は華麗なる宇宙艦船だった。
惑星テラなどという制約は、彼女にはない。彼女はある意味、誰よりも自由であった。
空気も重力もやすやすと打ち破り、地上の民を振るわせる轟音を立てて空を舞い、帝國の敵を撃つだけの剣。悩みもなく、悲しみもない。

 その剣を動かすのは人間ではない。また帝室でも、ACEでもない。
その剣を動かすのはプログラムだった。

 帝國の危機がある。自動的にそれを排除するだけのプログラムがある。

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 自国所属の友軍を助けるために宰相府所属の無人戦闘機たちが続々と空にあがりはじめる。

人はいない。 人が空を見上げれば、ただ空は情報規制されています。と映されているだけだった。宰相府の人間に、空を見上げる権利はない。それはプログラムが、決定する事項であった。

 ただ、轟音だけは聞こえていた。 それだけが、空でなにかが起きている証拠であった。

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 蒼龍は無人機群と隊列を組んだ。
それは帝國の剣である。剣たちは無人航空タンカーに接続して燃料を補給すると、続々と編隊を組みなおして戦場へ向かいだした。

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涼州記
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(1)

 akiharu国という、国がある。
大学のような要塞のような学校が建設され、巨大カマキリが闊歩する悪夢のような国である。もっとも誰にとっての悪夢かは、わからない。ただ、ニューワールドに住むものの悪夢ではないだろう。

 そこでは橘という一人の国民のために科学力が結集されつつあった。
一組の恋人がまた出会うようにするための、国をあげてのプロジェクトであった。

こういうことについてだけは、この国の設定国民は、目の覚めるような仕事をする。
誰に言われなくてもやるのだった。誰が見ていなくても。誰もほめなくても。

あきらめることがない。

 橘という男がバネで走るおもちゃから、よし、かれんちゃんを修理しようと思い立って、5年である。
今はカマキリと人間たちと番長と超能力者たちの連合が、破壊されたかれんちゃんタイプのガイノイドを再生産するために技術解析と再構築をしていた。そしてそれはほぼ完成しつつあった。橘は瞬く間にたくさんの蟷螂の鎌によって助けられたのだった。

問題はエンジンだった。akiharu国は小型エンジンの開発がうまくいっていなかった。カマキリがたいていの力仕事をするので技術発展しなかったのである。

問題を解決したのは、遠い帝國の一藩国、技術立国に成功し、後発ながら帝國屈指の大領となった涼州藩国である。

 藩王悪童屋・四季はカマキリたちの奮闘の話を聞くと、はるばる自ら馬を駆ってakiharu国を訪れ、新型エンジンの設計図を渡したのである。

悪童屋はどうしても、それをやらなければならなかった。
彼は帝國元帥で、マンイーター禍の時に帝國と共和国の間に鉄のカーテンをしき、病が入ってくるのを阻止していたのである。彼はその時、帝國を守るためにそれしか出来なかった。akiharu国のカマキリ、レディは死と引き換えに共和国の民と、しいては帝國の民を救った。

 自分は自分の陣営しか守れなかったが、あの国はそうではなかった。
悪童屋は、そう思い続けている。次、どんな小さなことでも、返していこうとも思っていた。それゆえの行動であった。

akiharuの国民たちはこれに喜んだ。
交易でも政治でも今まで一度も交流がない国が友好国になったのはこのためである。

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