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<<   作成日時 : 2009/05/22 18:00   >>

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 ミサヤガミは苦い顔をした。この国での緊急連絡は、それはすなわち未来予知すらすりぬける、本当に予想外のことが起きたということだった。他国とは、重みが違う。

「俺だ」
電話をとって言うミサヤガミ。

返事も「俺だ」だったからややこしい。
もっとも本人は気にしていないようだった。

相手は、くまヤガミだった。正確には、八守創一郎、と言う。

ミサヤガミは冬の借金取りにうっかりあった海法紀光のような顔をした。ありていにいって、苦い顔をした。

「なんだ、俺か。どうした?」
「悪いニュースだ。国民の一部がシェルターに入るのを拒んで、移動を開始している。国境からだ」
「ミサをそんなに悲しませたいのか、やつらは」
「悲しむのは俺の時緒かもしれんぞ」
「あー……不毛な言い争いはやめよう」
「まったくだ。それで、どうする?」

「Bヤガミの予知では人口の犠牲はほとんどないという話だった。これでわかったが、たぶん」
「奴らを説得できる?」
「いや、食い意地の張った奴らだ。それはない。たぶん、鍋の民には免疫がある」
「ほんとかそりゃ」
「たぶん。国内の未来予知者も人口減少はないと口を揃えて言っている。信用してもいいと思う」
「なるほど……どうする? なんなら俺がついていくが」

「問題はお前の時緒さんだ。うちの国の女は弱い」
「お互いな。だが国民が死んでも困る。時緒が泣く」
「ほっとくわけには……生きるために盛大な迷惑をかける可能性もある」

執務室のドアがあいた。
大きな男が、入ってきた若宮という男だった。

頭を下げる若宮。
受話器と電話を持ったまま頭を下げるミサヤガミ。

「どうした?」 くまヤガミ。
「行き倒れが来た。待ってろ。どうした?」

若宮は頭を下げた。
「会話が、聞こえておりまして。あー。それで、ですが。自分が、いきましょうか?」
「……安全かどうかはわからない。お前はそこまでこの国に義理立てする必要はないかと思うが?」

若宮は少し微笑んだ。
「逆です。自分には、なんのしがらみも、大切にするものもありません」
「女は? この国では、女を泣かせないのがただ一つの法だ。それ以外は猫をかわいがるのと。飯は残さないくらいだが」
「好きな人はおりますが、まあ、その人は自分のことなど、気にしてないと思います」

「自殺志願者はいらない」
「いえ。自殺するつもりはありません。ですが、それくらいの気持ちなら、いっそ、人々のために最後の最後まで戦えるのではないかと、思いました」

考えるミサヤガミ。
電話口の向こうから、くまヤガミが笑った。

「いいんじゃないか」
「俺が言う前に俺が言うな。 若宮、と言ったな。わかった。認めるよ」
「ありがとうございます」
「俺の古い友人も若宮タイプだった。まあ、お前に近いのかも知れん。ほら」

ミサヤガミは王章を投げて寄越した。鍋の形をしている。

「お前がリーダーだ。頼むぞ」

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