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<<   作成日時 : 2009/04/30 23:10   >>

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 悪童の足元を転がっていった缶は、うめいていた。大分離れたところで、壁にあたって停止した。それでもうなっている。

「さすがに悪いことしたかなあ」

 缶はむっくりおきあがって、言った。
この缶、藩王である。名を、土場藩王弓下嵐と言う。

帝國は全般として部下に忠誠を要求せず、莫大な権力、資金力、武力を背景にした権力がふるわれるのを、黙って見ていることだけを期待するものであるが、この人物はまこと帝國的人物であった。つまりきちんと税金を払い、権力が振るわれるのを見守る以外では好き勝手に生きていたのである。缶の格好は、その一つ。この点、帝國の自由は共和国のそれとは比較にならぬほど自由である。常識ある共和国であれば藩王が缶なら滅亡必至であろう。

その缶が帝國では割と成功者の部類に位置するのは、まったくもって帝國の民衆もまた、この王と同じ程度に権力が振るわれるのを見守る以外では好き勝手に生きていた証拠である。あいていに言うと、民衆は自分の権利の侵害と自分の税率には気をつかったが、王の格好などは気にしていなかった。

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以下、余談ではあるが、
共和国の自由は義務のことである。共和国民が自由と言うときは、そこには厳然たる義務と一体化しており、自由を行使するその時は、誰かのために使われるのを常とした。
共に和すゆえ共和制というのは、アイドレスにおいて冗談でもなんでもない。共和国の隅々までいきわたり、浸透し、確固たる確信をもって存在する神髄と精神、即ちスピリットであった。
一般プレイヤーから諸藩王、それを束ねる大統領、死したレディから今を戦うヴィクトリーまで全員が同じことを無意識にやっている。

一方、帝國の自由とは義務にいささかの関係もない、本当の好き勝手である。自由は自由、義務は義務、なのだった。長いゲーム経験によって作られたこの辺の意識の差は、面白い。

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話を、戻す。
 共和国の自由は、自由ではない。本物の自由は、帝國にこそある。
とはいえ、缶は思う。俺にも良心はあるんだった。残念だ。

缶は踏まれないように隅っこに移動すると考えた。まだ唸ってる。

世界を滅ぼすとされる夢の剣を封印できる特殊能力者”昼寝の達人”はそう多くない。
帝國的な自由の行使、もともと面白そうだとうっかりとったこの缶と、その恋人(帝國の七不思議の一つだが、この缶には恋人がいた)であるアリアン、赤子だから昼寝の達人なのも当然なあおひと家の次男坊、石榴だけである。

 芥辺境藩国で夢魔どもを滅ぼすために夢の剣が作られ、振るわれるとき、護民官長経由で相談が来た。使われた直後に封印してくれないかという相談である。

缶は、当然のように断った。事件起こす直前とか最終段階で使うの確定みたいないわれ方をして腹を立てたのである。お前の財布はお前のもの、俺の財布を当てにして買い物するな。バカかお前は。というのは、遙か昔、宰相に言われて5回くらい習字して缶が覚えたことだった。缶にしては珍しく、まったくその通りだと思ったことだったのである。

分相応。それが、帝國の精神である。

芥はいわずもがな、護民官長は共和国人だったが、帝國ではそんな言い方、言い回しは通用しないのだった。

お前の財布はお前のもの、俺の財布を当てにして買い物するな。バカかお前は。
と、かつて言われたことを、缶はこのたび正確にリピートしている。

これが共和国なら話が違う。共和国に分相応という概念は、まったくない。そもそも分相応言われるだけで、面白くなさそうな顔をするのが猫の猫たる猫の由縁であった。
共和国なら困っていれば誰かが自由を行使してこれを助けるのが当然であった。一人ではわずかなことしか出来ない自由だが、皆が共和国の笑える青い旗を見あげる限りは違った。瞬く間に自由が集まり、相対的無限の力を行使しえた。

だが缶は、帝國製であった。
なんかへましたら、残念だったで終わる(助けはない)帝國宰相の下での藩王である。
いや、それと今回断ったのは全然違うが、缶としては、共和国の俺の財布を当てにして買い物するプレイングを、慎みがないとして大変に嫌っていた。

ついでに事前説明やリスクの説明も欲しい。1行くらいの話をきいて即座に財布からマイルを出してくるうっかりの共和国民と一緒にしないで欲しいのである。缶は3行まで読めるから俺のほうが上等!というのが、缶の主張であった。ちなみに帝國民は平均的に10行くらいは普通に読んでいる。

とはいえ、だがしかし。
まあ、全滅しなければいけないほど、悪いやつでもないだろうというのが、缶の考えだった。そこで悩んでいる。宰相に相談にいったら好きにやれ、しか返ってこないであろう。
そして好きにやってこけたら残念だった。で終わることも、缶は正確に予期していた。いや、帝國の藩王ならば、そんな反応が返ってくる予測は、当然出来ている。

帝國で自ら動くときは、支援はまるで期待できない。
個人のみで動くとなると、実際のところ共和国の一般市民のほうが権力あるんじゃないかと、缶は思う。とはいえしかし、それを不満と思った事はない。他人の財布をあてにして生きるよりは、ずっとましだ。

缶は考える。宰相を動かすために石榴の事を使うのはどうだろう。帝國の子供好きは異常なほどで、この時ばかりは、宰相も重い腰をあげるかもしれない。

とはいえ、缶はこれも却下した。石榴の事をだしに使うのは、個人的にやめたかった。これでは護民官と同じであった。

海法さんなら手を貸してくれるだろう。あの人はいい人だ。とはいえ、いやまて。そもそも昼寝の達人使えるのは俺とアレ(恋人)だけじゃないかと考え直した。結局自分でやるしかないのだった。うーむ。

やるなら自分の意思で、フォローはなしだ。缶は腕を組んだ。頭から煙がでた。
帝國において自分の出来ることを精一杯やるのが美徳だが、それ以上のことを要求するは、悪であった。例外は一つだ。帝國では皇帝陛下と王女殿下だけが、あの炎のような瞳だけが、限界を超えたところの命令を行うことが出来る。


缶が恋人のところに行くまで、あと数分の時を要する。

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