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<<   作成日時 : 2009/01/28 11:58   >>

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宇宙の戦い(3)

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 宇宙の戦いというものは、原始的である。
より遠距離で、より火力が大きいほうが勝つ。

少なくともターン13の頃においてそれは事実で、さながらそれは、技術の発展が人の思考する余地を奪ってしまったかのようだった。

一旦戦端が開かれ、すなわち戦略レベルでの用兵が済むと、その先、戦場に作戦らしい作戦は、何もない。ただ正面から、殴りあうだけである。そして、より大きなほうが勝つ。

小型艦より大型艦が強く、これはI=Dでも同様であった。

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 亜細亜は、大型I=D、エチオピアを操って大出力レーザーを乱れうちしている。
大型機故に小回りが聞かないというのは実は大気がある世界の話で、大気がないという意味で純粋な宇宙空間では、向きを変えるにも推進剤が必要だった。すなわち小気味良くくるくる良く回って射撃する機動力は、より推進剤を積んでこれを浪費できる大型の方にこそあった。

戦いは絶頂に近く、寡兵よく帝國宇宙軍は敵の100分の1の規模ながら奇襲で局所優勢を得て戦線の突破を図っている。

亜細亜は小型機を護るために防空艦を優先的に落とし、時々背後から来る味方からのレーザーをよけていた。

レーザー発射。
宇宙の華にも見える閃光と爆発。人死にと寡婦と孤児を量産している。

自覚はあった。どうしようもなく。

迫る敵側のレーザー。乱数噴射回避をかける。世界が回る。縮れた髪が揺れる。内臓があちこちに行く感覚、気持ち悪くなる。内臓信号カット、三半規管を機体側マスターで再起動して戦闘を続行した。心だけは、カットしなかった。

亜細亜は小さく口を開いた。
「オタポン、私を見ないでね。今の私は、きっと醜いから」
「確かに酷い顔だ」

小さなオタポンは不意に現れると、何もかもをあざ笑う笑顔で言った。

「だが人を殺すときに美しいなんてのは性的倒錯だぞ」
「なにそれ?」
「前から敵」

小さなオタポンは消えた。警告。
亜細亜は乱数回避を選ばず全力噴射。続いて直感で回避運動。
直後に背後からの絶大なエネルギーを感じて機体を退避させた。

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「旗機(フラッグ)、主砲軸線上より退避」
「主砲、エネルギー充填120%」
「60%二発。Te!」
「撃て!」

 見るもの全てを真っ白にするような光線が放たれる。
大型I=Dが冗談のように小さく見える、戦場の主役、戦艦部隊が展開し始めていたのだった。

この戦いではFVB(Flores valerosas bonitas /麗しき勇気ある花たちの国)が主力を張っている。この国は、悲しみの聖戦期の艦艇保存所の上に立てられており、古い艦を発掘しては改装して送り出していた。冒険艦、大逆転号もその一つで、その圧倒的火力で、敵の大型艦を破砕し始めている。

この頃は時代の端境期(はざかいき)であり、発掘兵器にならんで、新規設計された初心級空母やアイドレスシーズン1の戦時急造艦であるミアキスが仲良く並んで戦っている。
艦艇の場合I=Dと違って大きい分生産に手間がかかる関係で容易には新型艦に置き換わらず、それで、このような仕儀(しぎ)になっていたのだった。

「大艦暴風やよけの発掘戦艦がぶっ放したら、これの10倍だったんだがな」
閃光に目を細めながらFVB艦の砲手の一人がそうつぶやいた。
レーザーは再充填するまで時間がかかる。意外に空き時間が出来、恐怖を紛らわすために結構な人が会話をして気を紛らわせようとしていた。
「ウィクトリア(勝利の女神)が好きでないんでしょう。あの人は、名前の通り風の人だ」

「おかげで相対的にうちが一番の大艦という意味ではラッキー。そうでしょ?」
「わあ陛下」

FVBの藩王、さくらつかさは少し笑って砲手たちをねぎらうと、戦闘中に発生しそうな莫大な罰金に頭を痛めている。実のところ、戦闘行動宣言でコピペミスしていたのだった。
コピペミスして大量罰金と言うのは、笑えない上にちょっと切ない。

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 FVB艦の火力は、目を引いた。
総軍司令、悪童屋元帥は腕を組んで少し笑った。
一人きりである。傍にいるはずの宇宙大将軍、風野緋璃の姿は見えなかった。
「やっぱり暴風使ったがよかったんじゃないかな」
「必要ありません」

通信だけが、きっぱりと否定してきた。
悪童は苦笑した上にほがらかに笑った。

風野はツナギを来て整備士としてダウンデッキにある。
手袋をつけながら、艦内通信を通じて悪童に言った。

「殺し合いだけなら、バカだって出来ます」

悪童は、この才能あるがいささか頑固な所がある風野にどう教育しようか考えたが、すぐに思考は報告によって遮断された。
「敵陣に穴を開けました!」

悪童は笑って教育は別の機会にすることにした。まあ、勝ってるしな。
「よし、冒険艦突入。上陸戦開始」

風野はダウンデッキの中で我が意を得たりと喜んだりはしなかった。
これからが本番だ。並ぶ歩兵部隊を見て言った。
「司令部を制圧する」

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