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zoom RSS 小説アイドレス 1222

<<   作成日時 : 2008/12/22 18:32   >>

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 光の国とそれ以外を隔てる国境付近に、海法の読みどおり敵が出たのは夜のことである。
2kmを越える這いずり回る巨大植物を暴走させ、光の国を襲いはじめていた。

第一報を聞いて、光の王、是空は活目した。海法から話は既に聞いている。
来たかと言う気持ちである。 その2時間前から光の国の国境沿いに北に侵食する形で敵の絶技由来と思われる大規模な停電が始まっており、むしろ遅すぎたなという気持ちが多かった。

是空は落ち着いてゆっくりと、震える指をいたわりながら王とも大統領にも到底似つかわしくない騒々しく高らかに鳴る靴を履き、アポロが描いた素子の図のジャンパーを羽織り、オールバックに髪を整え、長い城の回廊を歩き、バルコニーに出た。

いつかのきらびやかな建国記念演説が嘘のような、闇と静けさである。

「それは夜が深ければ深いほど 闇が濃ければ濃いほど 天を見上げよと言うときの声――
それは、悲しみが深ければ深いほど絶望が濃ければ 濃いほどに 燦然と輝く一条の光」

是空はつぶやいた。是空は微笑んだ。是空は顔をあげた。

戦記であれば、こう描くであろう。その目は青く輝きだしていた。と。
だがこの物語はアイドレスである。アイドレスではこう描く。仕事が果てて徹夜のまま是空はゲーム開始した。疲れ果てた己を叱咤激励してと。

夜が深ければ深いほど闇が深ければ深いほどに。是空は遠い昔、素子が彼に皆を護ってあげてねと言ったことを、色鮮やかに思い出す。

夜の闇にも疲労困憊にもいいことはある。それは俺の一番大切な物を俺が一人思うことが出来るからだ。
是空はそう嘯くと、演説を開始する。

この一戦は、大統領の戦いではない。光の王は静かに演説した。

立体映像でもなんでもない、一人きり、マイクもない、生身の演説である。明かりの消えた光の国で、光の王が夜に語りかけている。

この一戦は、大統領の戦いではない。この一戦は、FEGの戦いである。
取り戻すのだ。俺が欲しいのは光じゃない。一人の女の栄光だ。

夜に消えたその言葉は、程なくして喚声によって答えられた。
建国以来、まめに素子に毛づくろいしてもらっていたことを忘れていない耳の良い猫士達が既にアイドレスを着用して出陣のために並んでおり、これらがにゃーにゃーと鳴いていたのである。その瞳は藩王の意思に感応して青く青く輝きはじめていた。

 真っ暗な王宮前広場で、まばらな青い輝きが灯りだす。
続いて建国以来の古い族長達が、参集しており、これらが手に手に蝋燭をかかげて兄弟よ、助けに来ましたぞと、厳かに言った。

続いて古くからと新しいFEG所属のアイドレスプレイヤーがカンテラをもって集まりだし、最後はFEGを離れていた風野緋璃がペンギンとともに懐中電灯を持って歩いてきて、広場はにわかに明るくなった。一人一人の光はばらばらで小さかったが、集まればそれは、もはや小さくはない。

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 是空とおるは現実において蘇りはじめていた。
徹夜をものともせず、肌の艶戻り、その瞳に輝きが戻った。さすがは二次元から間違って現実に生まれた男である。いつも行くオカマバーのマスターと書いてママと読む男が、店先でノートPC開いて、自己再生していく是空のその様を見て、ぜくやん目を離しているうちに情事でもしてきたのと、素直なことを言った。

正解は、ゲームをしていたのである。是空とおるはいつもゲームを遊んでいたのだった。

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