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<<   作成日時 : 2008/12/21 01:09   >>

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電網適応アイドレス

”お帰りなさいと、言いたいじゃないか”
                  光の国の民のつぶやきより。

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 ワールドシミュレーターというものがある。
それは直訳すると、世界の模擬実験装置である。

何で実際に実験(実行)をせずに模擬実験なのかと言えば、単純な話として実際に実行できないためである。つまりは実際にできないから模擬、なのだった。

アイドレスの場合、人の夢が詰まった異世界――ニューワールドを舞台にしているが、その架空の世界は、無論のこと、実際にあるわけではない。

そこで、ワールドシミュレーターである。

 アイドレスでは世界を模擬するゲームシステムを導入していて、実際のように、刻々と相互影響を与えさせ、事態が推移するようにしてある。

これによってアイドレスは、実際に在るかのように動き出すことになった。
文字やニュース、口コミという媒体を通して世界を見ている範囲では、それは本当にあるといっても差し支えない。アイドレスをヘビーに遊んでいる人々は、ニューワールドが本当にあるかのように、感じて、生きている。

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そのワールドシミュレーションは、時折、プレイヤーの想像を超えて動いたり、物を生み出したりすることがある。

その一つが、光の国である。

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かつては砂漠、つづいて草原、今は暗黒の巨大都市となった国がある。

光の国と、自称して周囲から呼ばれていた。

元は、原素子の栄光(フィールド・エレメンツ・グローリー)という、国名であった。それのなれの果てである。
今は原も素子もその思い出もなく、ただ栄光だけが残っている。

その藩王はニューワールドの民に信任の厚い、光の王、是空とおるである。近頃は皇帝に推挙してはどうかと噂の高い、男であった。

 光の国は、是空王の長い治世下にあって、安定した善政によって大発展し、何もない砂漠の国から、地面には今の太陽など到底届きそうもないほど高いビルが立ち並ぶ大都邑を作り上げた。
富豪が多く、金融盛ん、世界中の人や物が流れ込む、そんな国である。
それでいて建国の頃の気風を忘れず、民心は厚く、この国は政府予算の十倍の規模で、寄附、私的援助が行われ、これによって強大な権勢を持っていた。

 他国より莫大な寄附をするには背景がある。
彼らは、光の国の民は、王、そしていまや共和国大統領となった是空とおるを愛していた。
もとより是空は現実と同じく、気前がいいのが大好きで、景気よく振る舞うのが、常であった。この性格が、当時は素朴な砂漠の民であったこの国の民に、余程あっていたらしく絶大な評価を受けている。

今ではもう、そう言えないほど相手は偉くなったが、砂漠の民は多かれ少なかれ、是空王を兄弟だと思っている。

光の国は、王がそうだからか、気前がいいプレイヤーが多い。砂漠の民はそれも、愛している。だから、川原雅や久珂あゆみ、他の気前のいいプレイヤーたちも同じように、愛されていた。

なんのことはない。光の国の民は、王やプレイヤーを愛し、それであるがゆえに、彼らと同じように振る舞っていたのである。この国ほど、プレイヤーを特別視していない国も少ない。

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光の国の民にはニューワールド中に知れ渡った悪癖がある。
客人がくると、いつも、建国の物語を他人に聞かせようとするのである。

それは、まだ若き光の王が、自分たちと寝起きをして国をつくり、長く国民が困ったときにはすぐに駆けつけたという、光り輝く昔話である。あるいは王が失敗し、それを助けて共に笑ったという、物語である。

時代がかわり、人が増え、今では是空がそばにいることは少なくなったけれど、思い出は、今もほのかに輝いている。

光の国の光とは、この国では目をこらさないと、よく分からない。
だがよく目をこらしてみれば、確かにわかる。この国は光の国である。

久珂の家が日照少なく困っていると聞けば人工太陽をつくり、危険と聞けば家を移築し、
それらの金を払ったのは、民である。己の兄弟のように振る舞った結果であった。

王城の修理で公費が払われたことはなく、国に学校がなくとも私塾を増やし、他国と同じかそれ以上の教育水準を持ち、国に文句をつけたこともない。戦時になれば増税に耐え、治安維持に私費を投じる。それが、光の国と、その民である。小さな光が、たくさんあつまり、巨大な国を、作っている。

それが、ワールドシミュレーションの結果の一つ、であった。

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 我々の世界の十二月十三日。この国は光の国の特別な日、建国記念日である。建国記念式典では六千万の民が一斉に起立し、それだけで小さな地震が起きたとされるほどである。

遠く、隣国から見えるように作られた夜空に浮かぶ壱千mを超える是空の立体映像を周辺国は、どう見たのだろうか。それもまた、ワールドシミュレーションの一つの結果である。

たいていの国は、このお祭りを見て光の国の力と、潜在的な恐怖を感じ取っていた。
ついでに、光の国の民には不幸なことに、この発展は、光の国のプレイヤーからも、恐ろしいことの前触れではないかと、危惧され、嫌われることが、多かった。

プレイヤーの多くは、よほどひどい目に遭わされ続けてきたのか、いいことがあると、すぐに警戒する癖がついていた。
ついでにプレイヤーは日本人が多く、そして日本人ほど、環境破壊に恐れをなす人種も、いない。その結果として、これらは口に出さずとも砂漠と草原がなくなったことを聞いて、なんとまがまがしいことか、絶対に何かあるぞと、思っていた。
もっともそこはそれ、それは現実での感覚である。異世界であるニューワールドの常識は、また違った。

 光の国の場合、藩国は自分の物だがそれ以外については、自然の物として考えて分けていた。光の国の周辺は何一つ、開発されていない。
また、龍が眠るという地下も開発されず、そこで上へ上へと、開発が進んでいる。光の国は別名尖塔の都ともいい、二千m級のビルが建ち並んでいた。

 これらのビルには示し合わせて競って巨大な空中庭園が作られていて、金がなくとも絶景を見、無料で食事をとり、わずかではあるが酒を飲み、そして光の民の悪癖であるところの建国の物語を浴びるほど聞くことができた。多くの金持ちや建国時代の古い民は、是空や都がかつてそばにいたときを、皆の前に彼らが戻ってきたとき少しも変わらず接することが出来るよう、そして自ら忘れぬよう、こうした公園の地べたに絨毯を敷き、皆に話していたのである。

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そして、是空砲が、作られた。

三千mという、雲よりも遙かに高い巨大なビルの屋上に作られた、超巨大レーザー砲である。月を撃墜できるという、触れ込みであった。
それはかつて、宇宙からの爆撃に、対空機関砲で対抗せざるを得なかったくらいに困っていた王を助けようと、富豪達が金を出し合って建設し始めたものである。つづいてそれは日照問題を解決も出来るように人工太陽としてもつくられ、最後に、大規模な争乱に対する対地攻撃用にも転用できるよう作られていた。

 なんと言うことはない。巨大な建造物を造っているうちに状況が変化し、また改設計し、その間にまた状況が変わると言うことがつづくこと数度、ようやく完成にこぎ着けたのである。

これが、決定的に周辺国を恐怖させた。
どう見ても恫喝にしか見えなかったのである。

 いつのまにか光の国は、どんどん孤立を深めつつ、あった。
 

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