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zoom RSS バレンタイン御礼企画 チョコありがとうございます4

<<   作成日時 : 2008/02/24 03:09   >>

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時は、1週間前に戻る。

 バレンタインの侵攻は数名の人間と大部分のACEで実施されることになっていて、実際その通り、行われた。
使用された物資は燃料・資源・食料あわせて300万t、輸送200人機でさほど見るべき規模ではなかったが、ACEに基本的に燃料資源食料が不要なことを考えると、実際はかなりの大規模作戦だったことが分かる。

輸送計画をつくったのは宰相自らである。というか、軽く死んだ。イベント100の吏族は偉いと思った。

一方、作戦を立てたのは英吏である。彼がロボたちと打ち合わせしたのは極短く、基本戦略を聞くとそれに対応した作戦案をいくつか用意していた。徹夜は主として、評価計算の組み合わせを作っていたために起きていた。彼は事前準備状態での基数計算を嫌っていたのである。


作戦を立てたのは英吏だったが、招聘され、集まった者に作戦を説明したのは別の人間だった。

千葉昇である。アイドレス人口の30%、数にして300オーバーのアイドレス参加ACE群から指揮官として選ばれたのは英吏と老将ベリサリウスから推された眉目秀麗な学生兼任のこの知将であった。

 彼は義弟である良狼をほとんど迷わずに副将に選ぶと、僕を選んだのは最善だったなと傲慢極まりない一言をのべてsarukeyからのチョコを受け取って指揮をとることを承諾している。


「アテンション!」
直立不動の谷口が、知将千葉昇の登場にあわせて口を開くと、雑多なACEたちが一斉に昇を見た。そして不安がるその前に、見とれた。 見た目よりもその内なる輝きに、魅せられたのである。

昇は妹を守ろうと心から思うその限りにおいて、どんな役柄でも完璧に演じることが出来た。どんな役柄より仕事より、兄というものはそれだけで偉かったのである。昇はその完璧な実践者であった。

彼が演じたのは人に勝利を信じさせる天才的な知将だった。作戦に口を挟むのさえ罪であるような、そんな男である。そのために雑多ではあるがACEたちはほぼ完璧な統一作戦行動を行うことが出来た。

指揮官が英吏やヤガミであれば、同じ作戦でも異論が多く出たであろう。人望は別にしても、心配する人は多かろう。その点昇は完璧であった。妹が宰相府支持を表明している時点で全力をつくして完璧をなすであろう。千葉昇の妹LOVEは無名世界観中に広まっていた。

かつて英吏は己のスピーカーとして善行を使っていたが、それは今、昇という完璧に近い男を得て完成しようとしている。

「これより作戦の説明を行う」
昇が少しの笑顔とともにそう言った瞬間に、勝利を確信したACEたちは多かった。
多くは膝を叩いて彼を見た。

「作戦は簡単だ。大枠を説明する」

昇は陽動部隊と対かのもの部隊を指し、かのものを人間にゆだねて陽動部隊をACEが動かすと言った。

多くのACEが人間を心配したが、かつて幾度も戦ったり逆に命救われたりしている昇は、悠然と微笑んで、彼らが勝てないのならどうせ何をやっても勝てないのだと簡単に言って、皆を理屈ではなく感情で納得させた。

「今回の作戦の基礎はいかに敵を釣り上げるか、おいしい餌を用意できるかだ」
その上で昇はそう言い、誰を餌にするのかと問われると、今から出演交渉をする予定だと言った。


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 餌として選ばれたのは、多くのものが予想するような美姫ではなかった。
汗臭い、おっさんである。名を、黒のバロという。これでも地上最強の人物である。先の聖戦(悲しみの聖戦)ではシオネを守って最後まで戦った人物であった。

この人物が出ることが知られれば、当然敵は対応してくるであろう。それこそが狙いである。

問題はバロが、まったくといっていいほど集団行動をしないのと、宰相府に協力する構えがないことであった。もとより単に休戦しているだけで、宰相府の指示に従うつもりなどまるでない。天性の自由人なのであった。

総指揮を取る昇は使者を立てて今回の作戦での協力を得るつもりであった。地理的に関係が深い羅幻王国とバロが、極度に関係悪化しているのを踏まえ、別に使者を立てることにする。使者には副官である谷口のたっての願いで、岩崎仲俊が選ばれた。自由人には自由人がよかろうという、谷口の理屈である。ついでに谷口は、天才肌の友が活躍して歴史の表舞台にでることを願ってもいた。

 その谷口はぽんすけの送ったコーヒーを見て、去年ココアを粉のまま服用したことを思い出したが、毎年考えて送ってきてくれているのだなと、考えた。
そのまま顔をあげ、ke!の贈ったチョコを岩崎に押し付ける。

「頼むぞ岩崎」
「頼まれてみるよ。谷口君」
こちらも毎年、手作りである。岩崎はそう答えてうん。去年よりおいしいねと言うと、岩崎らしく、飄々と言った。

「僕ぁ、このチョコにかけて成功させるつもりだよ」
岩崎は谷口の尽力を、良くわかっている。答えてやるつもりだったが素直にはそういわず、全部をke!のチョコのせいにした。

「なんだそりゃ」
谷口は岩崎の性格を良く知っている。
谷口はそういって苦笑すると岩崎と握手して、それぞれの仕事に入ることにした。

岩崎は一人、旅に出る。

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一方その頃。


 ベルカインは己を呼ぶ声で、うたたねから起こされた。貧乏で知られるえー藩国の、縁側の淵、庭の前であった。
彼にチョコを贈った山吹弓美の声が聞こえた気がしたのである。

ベルカインは微笑んだ。ネルの元気な声と、山吹弓美の威勢のいい声を思い出し、だから彼は、それだけで笑った。

優しい気になった。

 両の手に浮かび始めた模様を見て彼は彼の中に、加護の光があることに気付いた。
天空に漂う万物の精霊は愛に反応し、ベルカインの中にささやかではあるがいくばくかの間、運命に逆らう力を与え始めていたのである。

しばらくじっと縁側で考え、ベルカインはこの加護を、天下万民のために使うことにする。
彼の心に少年王であった頃の志が、加護とともに戻り始めていた。

手を伸ばし、柱に捕まって立ち上がるベルカイン。彼の体中の精霊回路が作動開始しようとするのを意思の力で抑制する。 加護はそうない。使うタイミングを、はかる必要があった。

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同時刻。

「たいへんたいへん。なになにこれ?」
羽妖精のピクシーQは早口で言った。

「ん。郵便」
今日子は、ペンギンからチョコを貰って、上機嫌であった。
ただこれだけで、どんな殺戮も喜んでやるであろう。

「郵便ってなに?」
Qが羽をぱたぱたさせて不思議そうに言うと、今日子は少しだけ優しく口を開いた。
「まあ、荷物は込んでくれる人がいるのよ」
「私にくれるの?」
「まあ、あんたあてみたいだね」

荷物の包装をあけようと力をこめるピクシーQ。すぐ涙目になった。

「重くてあかない」
「しょうがないわねー」

今日子は指先で封筒をあけると、小さなチョコの詰め合わせを見て微笑んだ。

「プレゼントだって、あんたに。えーと那限逢真から」

わぁと、ピクシーQが笑顔になるのを見て、今日子は柄にもなく微笑むと、中のメッセージカードを読み上げてやることにする。

/*/

28時間後。

 岩崎は行きがてらの船の中で小笠原ゲームのバロ関連のログを読み、最後に船の中の売店でチョコを一つ買った。
悠然と武装もなく黒の砦の前に来て、使者ですこんにちはーと、気の抜けたことを言っている。

 この月、黒オーマは旅に出ているのが通例であったが、バロは一人、海を前に食事も取らずにただ死者を思って瞑想していた。

案内された岩崎は微笑むと、バロの隣、間合いの内に入って死者を思うのはいいですが、生きている人を助けようとは思いませんかと無神経なことを言った。その言葉は過去の彼が一番傷付く言葉である。

目を開いて、岩崎を見るバロ。

岩崎は死を覚悟したが、微笑んで改めてこんにちはと、明るく言った。

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 岩崎はバロと自分は良く似ていると思っている。だから動かし方も良くわかっているつもりであった。

バロは、何も言わぬ。

岩崎は微笑むと、先程買ったチョコをバロに渡した。

これは? と尋ねるバロに、岩崎は微笑んだ。
「2月には女性から好きな男にチョコを贈る風習があるんですよ」

「それは知っている、これは、だれからだ?」
「貴方の副官からです」

それは真っ赤な嘘であった。この時点(2月13日)でバロには、誰からもチョコは届いていない。
岩崎は高神喜一郎の名を騙り、彼にチョコを渡した。

バロがあいつからかと苦笑するのを見て、岩崎は微笑み、実は彼女が死にそうになってましてと、言った。

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