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zoom RSS 小説アイドレス:まきの誕生日作戦(1)

<<   作成日時 : 2007/12/28 17:07   >>

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 宰相府というわんわん帝國の藩国がある。
麒麟藩国と王女藩国という常時藩王・国民不在の藩国も動かす小さな藩国である。宰相府自信にも国民は、基本的にいない。
バージョン0.5の昔の名残で帝國唯一の西国人国家であり、観光地がないので現金収入がなく、帝國の国としては致命的なことに、市場に収入を頼っていた。あのすぐ停止するわんだっく市場である。

ありていにいってあまり金がないのであった。
そのせいで、なにもかもこじんまりと出来ており、宰相の館などはソーニャエミリオがソーニャに贈った指輪で2個買ってお釣が来るほどのものであった。

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 その宰相の館をピクシーQが飛んでいる。
最近になって一時滞在することになった羽根妖精であり、妖精には特に寛容な宰相府内にあって、だから自在に飛んでもいた。

「ゆるしてー」
などと言っている。

それを追いかける士族の娘がいる。追いかける理由はおやつを食べられたからで、妖精に寛容と言ってもおやつの恨みはまた別であった。名を今日子と言う。

「羽根毟って焼いて食べる」
「わー」

言葉を聞いてQは半泣きである。
今日子はというとその身にバスタオルを巻いただけであり、顔からは湯気が出ていた。もっともこれは照れでも怒りでもなく、風呂上がりである。

「ゆるしてー」
「死ね。蜻蛉もどき!」
「わー。昨日見つけた秘密教えるからー」

今日子は立ち止まった。半眼で顔を近づける。
「くだらなかったら、煮るわよー」
「秘密の部屋を見つけたの。すごいのよ。こわいのよ。Q、1mくらいしか冒険してない」
「ほほぉ」

今日子はそこでここ最近姿を見ていない人を見れるかもしれないと考えた。

「よし。じゃあ連れて行け」
「Qがんばるっ。煮Qならない」

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以下余談である。
 宰相府は自衛戦力以外の戦力を持たない。その戦力基礎も消費が少ないACEだけで構成される。
これを宰相騎士団という。

騎士=宰相府のACE士族は僅か5人。だから5人を指して宰相騎士団(天翼騎士団)と言う。主として宰相の護衛のみを行うミニ騎士団であり、稀に特別な計らいにより、帝國の重要人物である藩王や摂政を守ることがあった。

後、イベント95(ルージュの戦い)時点での予想外の空軍力のなさとタイムアップが迫ってACEが停止するという大事件がおき、やむにやまれず、新たに秘書官団を中核に行政組織を兼ねる東方有翼騎士団と言う、第二騎士団が新編成される。もっともこちらは対外的に悪そうに聞こえるので、相変わらず秘書官団と言う呼び名で運用されていた。

どちらの騎士団も、その筆頭は女である。左にACEの女、右にプレイヤーの女が、宰相を支えている。宰相府は女の園であった。

 その宰相は女の園であるがために、彼唯一の趣味である革命的ないやがらせを思いついても話す相手がいないので苦慮していると伝えられている。どうしても言いたい時は芝村(悪)と言う偽名を使ってニューワールドチャットに降りてくるのが常であった。

話を、戻す。
左にACEの女、宰相騎士団筆頭の士族、名前を今日子と言う。
神聖巫連盟という名も知られぬ藩国の生まれである。むちゃくちゃに強いながら、名前が知られていない上に凶状持ちで、性格破綻している関係で契約金も格安であり、最後の一項目が決定打になって、宰相騎士団に迎えられた。

宰相にとって性格は常にどうでも良い事であった。
とはいえ、たけきの藩王たけきのこに並ぶ超ニート街道を驀進していた今日子はこれを喜び、涙を流して忠誠の誓いを立て、必ず貴方の敵を叩き潰しますと言っていじわるするぐらいにしなさいと言い含められていた。

/*/

宰相府の地下は深い。
それは主の住いであり、地下に作られた魔術師の塔であり、七つの螺旋にあわせた七つの階段が壁に刻まれていた。どんな科学も、ここでは力を失う。

「ね、ねえ。怖いよ、帰ろうよ」
「駄目よ。あんないないと暗いじゃない」

 今日子はQをしかりつけると、階段を下りていき、ついには最下層の星辰の間にたどり着いた。そこは地に潜る塔の頂点であり、全ての星座があべこべの形で描かれていた。

深呼吸する今日子。声をだす。

「何をしているの、パパ」
「来たね」

今日子は目を細めた。夜目に慣れてようやく見え出したゆったりした服を着た男の背後、装甲を半ば外された悪魔のような顔の人型があった。

「うわ、サイケに綺麗。ビジュアル系RB」

男は軽やかに笑った。それこそは王女なき帝國を牛耳る宰相の笑いであった。
「お前のために改装をしていたが、少し別の用が出来た。完成はしばらくまちなさい」

「これ、新型?」
「いや……そうでもないな」
「じゃあ古いの?前は女が使ってたの?中古?新古?」

今日子の矢継ぎ早の質問に、宰相は笑ってやさしく言った。
「RBではないよ。ドラゴンメイル。骨董品だね」
「パパは骨董品好き?」
「昔にはどんな意味もない、今はただの腰掛けだ」

今日子は下を向いた。Qは心配した。Qを無視して今日子は口を開いた。
「そう」

今日子は言った。無表情に。
「これを私に押し付けるの?」
宰相の笑いがさざめいた。
「クエスカイゼスはよいI=Dだが、お前の反応速度にはついていけてないからね。気に食わないかい? なんなら装甲を変えよう」

「……」
今日子は宰相が娘に愛娘に機体を与える時は必ず機体を新造することを知っている。
だから顔をあげて、微笑んだ。
「ううん。ただ言ってみただけ。ごめんなさい。綺麗な機体だなって思ってた」

宰相は喜んだ。
「今日子は良い子だ」
「うん。それよりもパパ、いつまでも上に来ないけど、寝てないの?」
「毎日2時間は寝てるよ」
「だめだよ、パパ。もっと休まないと、今回はお仕事じゃないんでしょう?」

宰相は笑った。
「そうだ。だがまあ。いい気分だ。もとはと言えば商売抜きだった。久しぶりに戻ってきた。私は少しだけその手を休め、まきの誕生日を祝うとしよう」

 まきって誰だろうと今日子は思った。女だろうか。女なのだろう。女が嫌いと言うこの宰相は、だがいつも女の危機にはその時その時の最高戦力を救援に差し向けてきた。今日子はそれが嫌いだった。自分が強いことすら後悔しそうになるから。

「お仕事なら手伝います。良狼と雷蔵も控えております」
今日子がそう言うと、宰相は笑った。

「今回は大規模戦だ。人間を主として使う。風野緋璃を使おう」
「第二騎士団を?」
「東方有翼騎士団だよ。人間の世界ではクリスマスの近辺は忙しい。まあ、常識に言って参謀団も動けまいというか、動いてたら悲しい。だから東方有翼騎士団だ。それと今日子。そなたは人間と仲良くなることをもっと考えたほうがいい」

 かなり遠回りに宰相は秘書官団の悲しみを表現したが、今日子は気づかなかった。
ただ彼女は、顔をこわばらせただけである。

「必要を感じません。全てのACEの中でも私だけはパパのためだけに戦います」
「ははは。まあ、まだ小さい時は皆そう言うものだ。お前は奈穂によく似ている」

今日子は思った。なんていやな言い方だろう。この人はいつも、過去にも今日にも意味はないと言いながら、昔の女の事ばかり言う。

今日子は泣きたくなった。

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