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zoom RSS リターン・トゥ・式神の城外伝 月光城(1)

<<   作成日時 : 2007/11/12 20:23   >>

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この作品は海法紀光が式神の城3XBOX360版(2007年12月12日発売)の販促のため書いた。日々更新の予定である。

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中東欧の小国、アルカランド。熊本県とほぼ同じ大きさの小国である。経済的価値は無きに等しく、電力はロシアとボストニアに頼る。
つまるところのド田舎極まりない僻地。

さりとてド田舎であることと満ち足りることの間には関係はない。
金銀は天地に満ちるとは、かの国の言葉である。
一面の小麦畑が夕日を黄金に染める。
静かな湖畔は銀の月を映す。

この時の止まったような王国で、人々は、おおむね満ち足りて幸せに暮らしていた。そういうこともある。

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何にも代え難いアルカランドの財宝。その黄金の一角がくすんでいた。
一面の小麦畑、その葉が錆びたように赤い発疹を吹いている。

月灯りの元、幼い兄妹が軍手で苗を探っていた。二人の顔は暗い。

今年は暖かく、小麦はよく育った。そういう時は病が起きやすい。だから、よく世話をして、肥料を調整し、葉を確かめる。
ひとたび病が出れば、隣近所も集まって、総出で手当をする。

けれど今、畑に残されてるのは幼い兄弟だけだった。頼もしい父は、もういない。
神隠しのせいだ。

アルカランド全土で数ヶ月前から始まった連続失踪事件は、未だ止む気配を見せていなかった。
愛する者や家族を失った不安は、無論、計り知れない。加えて農家において、働き手が減ることは、そのまま畑を失うことを意味する。
数十の失踪は、そのまま数十の家族の崩壊だった。かろうじて、経済的な補償は行われていたが、それだけで追いつくものではなかった。

「お父さん、戻ってくるかな?」
 妹が訪ねる。
「あぁ、戻ってくるさ。明日には」

手入れする人手がないまま、病のついた畑を放置はできない。父の帰りを信じてはいたが、いつまでも待ち続けることはできない。
こうして畑を手入れするのも今日が最後だ。明日になれば火をかけて燃やすことが決まっていた。

「お兄ちゃん……」
「大丈夫だ。きっと姫様が、何とかしてくださるさ」
少年は自分に言い聞かせる。
「きっと……明日になれば、父さんも帰ってくる。もしかしたら元気になってるかもしれない」
無理に微笑んで、少年は振り返る。

そこに、妹の姿はなかった。

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玖珂ミチコは夕餉の支度をしていた。
お茶碗を取り出して、炊きたてのご飯を盛りつける。光太郎、剣太郎、そして……。晋太郎の分を取り出して、ふと手が止まる。
小さな溜息。
表情を消して、左手でイヤフォンをはめた。

──セントラルWTGへの断続的アクセス──TLO遺物の可能性──
──住民の大量消失──可能性の置換?──
──推論:ドールプレイヤーシステムによる介入──結論:可及的速やかな確認と接収──

玄関のほうに足音を察知し、玖珂ミチコは、手早く準備を終えた。前掛けをはずし、サングラスをつければセプテントリオンのエージェント、MKがそこに現れる。

戸が開いた時には、その姿はもう見えなかった。

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