よんたボーナス レムーリア外伝(4)

 千葉奈穂は瑞々しい少女である。
それは彼女が体験した長い冒険が、現代人の感性を磨かせて、新しく、そして彼女らしい何かを生んだ結果であった。

奈穂が目を見開いた時が世界の始まり、そして目を閉じたときが世界の終わり。
多くの人が、そう思う。その雰囲気が千葉奈穂
という人物であった。

その奈穂は朝4時に目が覚める。
20秒で着替え、髪を櫛削りながら2階の窓から飛び降りる。

窓の下には良狼という名の男が待っている。
背が高く、無愛想で、真面目に見えていつも彼なりに何かを面白がっている。
抱き止められ、奈穂は微笑んだ。
これが彼女の、一日の始まりである。

「おはよう、良狼さん」
「おはようだ」

山梨良狼は背の高い狼を思わせる男である。
気高く、群れず、いつも荒野を歩いている。王族ではあったが旅なれていて、それでいて世俗とは異なる印象を与えていた。

その男を手な付けている点、奈穂という人物の真価とも言えよう。男は何をなしたかで価値が決まるが、女は誰を抱いたかでも価値が決まるのである。

 だが奈穂は、価値などは全然気付いていない。
そもそも価値というものを彼女は生まれてこちら考えたこともない。そんなものと無縁でいきられる人物である。財布をなくすは忘れるわ、募金しすぎて帰りの電車賃なくすわ、仕方ないので3駅歩いてそれで反省しない女である。

この人物に、学習能力はない。
代わりにどんな痛みにも耐えて、行きたいところに行く、心がある。

彼女にとって良狼は自分を拐う漢であり、自分を大事にする漢であり、友義に厚く、そしてあぶなっかしい漢であった。すぐ無茶をして怪我をするのである。

 かつて奈穂は思った。
「私がいないと、この人はダメだ」

実際のところ、七つの世界を通じて良狼という人物にそんな感想を思う人物は、彼女と雷蔵だけである。
あるいはだからこそ、この人物はすごいのかもしれない。
ちっともそうは見えなかったが。

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