裏マーケットボーナス FVB 麗しき勇気ある花たちの国

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裏マーケットボーナス FVB 麗しき勇気ある花たちの国
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 レイカが泣き、素子が壁を叩いていたその頃。

わんわん帝國宇宙軍は、静かにその歴史を、再び刻み始めようとしていた。

 宇宙軍。 大気圏外での活動を主とする軍である。かつてニューワールドが建設される前までは、帝國の主力軍であった。
世界を渡る藩国(すべての藩国はネットと書いて宇宙を旅することが出来る船である)を守るために、必須だったためでもある。
それが、今やほとんど見られることがなくなったのは、根元種族との最初の戦いで壊滅したからである。その再建が、ターン6にしてようやくはじまったのだった。

 この方面、わんわん帝國の方がにゃんにゃん共和国より先んじていた。帝國の次期主力I=Dであるケントは宇宙戦を考慮していたし、FVBの戦いで知られるFVB”麗しき勇気ある花たちの国”では再建される宇宙軍本部がおかれ、再びネットの海で戦う準備が着々と進められていた。一方何事もゆっくりなにゃんにゃん共和国では、ただでさえ強力な陸軍が、さらなる強化を続けている。

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 その日。FVBに新たに建設された帝國宇宙軍統一防空指揮センターでは藩王ことぐるぐるさんの愛称で知られる、さくらつかさが、まだ真新しく、まだ人もほとんどいない、照明もまばらな同センターの400人は楽に収容出来る大スクリーンおかれている主指揮所を視察にきていた。

「完成セレモニーも出来なくてごめんね。うちお金無くて」という、いささかぶっちゃけ過ぎな藩王に対し、スタッフは首を振り、こいつは宇宙に冠たる大帝國にとっては普通のことですからねと言って笑った。それはかつての帝國の自称であり、同時に宇宙軍のスローガンでもあった。

 それが今、再び蘇ろうとしている。

まだあの自称を、上は王女から下は国民まで胸を張って名乗れるほどではなかったけれど。

まだ地上から天を見上げ、いささか映画めいたスクリーンに投影することしか、出来ていないけれど。

かつては自分自身帝國宇宙海軍の大尉だったさくらつかさは一度目を伏せ、今度は明るく、皆をねぎらった。

「んー今日は星が、いつもの倍は見えるよねえ」
「ああ。あれは星じゃないですよ」
さくらつかさが うーん?と耳をぱたぱたさせる前に、指揮所で働く少年兵が声をかけた。この国、王の立場が低い。
一緒にスクリーンを見上げて、口を開く。「ありゃあ、敵です」

「えー!!」 皆が振り向くようなさくらの大声が反響なくなるまで待って、少年兵は軽く説明した。
「60時間前からです。おそらく、減速に入ったんでしょう。ターンして逆噴射している光ですよ。数はざっと1400、大きさは900m位ですね。艦載機ももってるかも」

「ど、どうしよう、戦わないと」ぐるぐるはじめるさくらつかさ「どうしようもないですよ」少年兵。王を前に、いささか得意げに昨日古参兵に習ったことを言った。
「遠すぎますし、こっちには前進基地もありません。まあ、上からミサイルが来たら迎撃しますし、レーザーや月落としがきたらまあ」

「まあ?」
「神に祈るしかいまんところありません」
「えー!!」
ぐるぐるが足りないと思ったか、さくらは3秒待ってもう一度「えー!!」と言った。

少年は、タイムカウントがまだ7日あることを、王には黙っていた。宇宙軍の予算を増やしてもらおうと思っていたからである。宇宙軍はひどい金食い虫なのだった。

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