裏マーケットボーナス ジェントルラット

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裏マーケットボーナス ジェントルラット
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歓声が、爆発した。
 土壇場の土壇場で、本物猫ボディが思い出され、それで”まき”が蘇ったのである。

この時ばかりは、犬も喜んだ。

動き出した本物猫ボディが宙に踊り、そして小笠原は、慈愛と言う名の青のリューンが再び降り注ぐ大地となった。

青は、戻ってきたのである。

どこに隠れていたのか、青に照らされてネコリスたちが天を見上げれば、大きな能動望遠鏡にも青い光が降り積もりはじめていた。

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 ヤガミは機体をバレルロールさせると、青の光が降る喜びをかみしめ、指輪を渡すのは今度にしようと考えた。

 浮上した夜明けの船のトップデッキ、ドランジと別れ、慌てて船に舞い戻っていたエステルは、その髪を揺らして風を見上げた。彼女は何故犬と猫が喜ぶのか、分らない。

遅れて浮上するRB群。
「こちら、ハリー。無事か?」
「キュベルネス。問題ない。お兄ちゃんは?」
「……こちらグラム、だからそのネタはもういいって」
「こちらエリザベス、。時空振動に巻き込まれたにしてはまあまあだね。問題はここが、どこか海図に出てないところだが」

 泣き顔ハリーと呼ばれるハリー・オコーネルはハッチを開き、外を肉眼で見ながら小さな声で火星ではないなと言った。流星号に外周モニターはなく、外の様子を見るには、そうするしかなかった。気圧差は、ほどんどなかった。ハリーの前にも青く輝くリューンが降っている。
「火星ではないな。星が見える」
「火星でない?」
エリザベスの怪訝な声を聞きながら、泣き顔ハリーと呼ばれるハリー・オコーネルは少しだけ眉を緩めると、何もない宙を見上げ、ミカと話する機会がまだあったことを喜んだ。

「スイトピー君、無事か」

コクピットの中で小さくなっていたスイトピーは、ハリーの声に目を我に返った。
自分の機体の圧壊音を聞いたはずだったが、全ての機能は正常に機能しており、スティックを引けば機体は青の降る海面に簡単に浮かび上がった。

ハリーにならってハッチを開き、スパッツ姿で青の降る海と島を見上げ、スイトピーは、天を舞う黄金に装飾されたゴールデンに知恵者の紋章である五木瓜を見てスパッツから伸びた生足もまぶしく、激しく足を踏み鳴らして怒った。

また騙されたと、思ったのだった。
インコムを耳に当ててわめくスイトピー。

「知恵者、また騙しましたわね」
”なんのことだ、うん?”
「とぼけていらっしゃらないで! ジェントルラットのことよ!! あのかわいい王様と家臣のAI達!」
”知らぬな”
知恵者は短く言い、そうか、奴は想い人を確かに助けたのだなと笑うと、改めて口を開いた。
”知らぬな。昔はたしかにそんな国はあったが、今は知らぬ。今はそう、猫の国に亡命してな”
「またわけの分からない話でわたくしを騙そうとして! この間は危うく変な格好になるところだった」
知恵者は難しい表情をしたが、少しだけ口元を緩めると、天地の創造者のごとく、優しく言った。

”ジェントルラットの心だけは本物だ。スイトピー・アキメネス・シンフォリカルプス。それでは不満か?”

スイトピーは騙された上に偉そうだと、一層顔を赤くして、盛大に文句をわめいた。
「今度という今度はごめんなさい3回くらいでは絶対に許されると思わないで!4回よ! それとジェントルラットのAIを渡しなさい! 私のBALLSにいれるから!」


MAKIだけが、帝國と共和国の犬士と猫士達とデータリンクを確立して情報をやり取りしていた。真面目に働いていたのは、このAIだけである。
<あたらしいIFFを確認しました。知恵者、ヤガミ機を再登録>

<および友軍多数>

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