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zoom RSS 裏マーケットボーナス まきとシャルルと糸目の少年

<<   作成日時 : 2007/02/26 03:27   >>

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 まきは鍋の国の技族で、アメショーで知られる共和国主力I=Dのデザイナーである。
ついでに参謀資格3級である。

そしてなぜか、女だった。たいていの人はこの人物をいかついおっさんだと考えていた。
大間違いである。

健康的に日焼けした肌。太陽の輝きのようなさらさらの金色の髪。すみれ色の瞳で、まあおおよそすべての予想を裏切った、そんな外見をしている。しかも学生で、パイロットだった。

このアイドレスからして、まきの手作りであった。ものを描く才能があったのであろう。
その一方でこの輝ける才能は、右と左を間違えるという致命的な方向感覚の持ち主であった。鍋の国に身を寄せるきっかけもそれで、彼女は餓死しかかっているところで鍋を御馳走されて一員になっている。

そのまきが、アメショーのトライアル試験以来歴史の表舞台に出たのは、経済混乱からにゃんにゃん共和国が例によって適当に見えつつもあざやかに立ち直りつつある。そんな時である。

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小笠原偵察少女

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 まきは、死に掛けていた。

小笠原には変なI=Dがあるらしい。ひょっとしたら対馬見れるかもと、メカデザイナーらしい理由で小笠原に侵入し、そこで、やってしまった。道を最初に間違って仲間とはぐれ、そして10日。今餓死しかかっていたのである。

もう目の前も暗く、それが夜のせいで暗いのだと彼女が気付くまで、随分かかった。

「もう駄目だにゃん、駄目だにゃん」
彼女はそうつぶやいて、目をつぶった。今わの際に言おうと思っていた、可愛い言葉だった。彼女は目をつぶり、最後の眠りにつこうとした。

最後の眠りはさして続かず、次に彼女が目を開けると、大事そうに糸目の少年に抱きしめられ、凄い速度で坂を下りていた。

あわてて、短すぎるワンピースの裾を伸ばそうとするまき。健康的なふとももをゆるやかにしめるニーソックスが、糸目にいやらしすぎるように見えないかと、まきはそれだけを心配した。この段階にいたって見栄を気にするのが、女だった。

「まだ生きているな」糸目の少年の隣で二つの懐中電灯を持った色黒の少年が言った。
「死なれちゃこまる」糸目は優しくそう言ってあばれるまきを立て抱っこで抱きしめた。
フギャーと噛み付いてもじたばた爪でひっかいても糸目は手を離さず、まきの意識が遠くなるまで、やさしく首筋から背中をなでられた。尻を触られて、尻尾振った。

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 それから2日、立つ。自力で皿に入った牛乳は飲めず、糸目はスポイトと指の先の牛乳で、まきは命を繋いだ。

糸目は彼女を抱きしめて放さず、学校まで持っていって、あれこれまきを元気づかせる声をかけながら、暖かくして栄養を補給させ続けた。

 意識がはっきりしたのはこの頃のこと。ふにゃーと寝ていたときに暖かく濡れたタオルで、拭かれてからだった。体中のくすぐったい感じで最初は耳をふるだけでむーと思っていたのだが、我に気付くと糸目の男にいいようにタオル越しで触られ、まきは暴れ、ついにはあきらめた。力を抜き涙を流し、もてあそぶために助けるなんてひどい人だと思った。
耳の穴まで掃除された。鼻水も拭いてもらった。

そしてまきは我に返った。そういや自分は本物猫型アイドレスに着替えていたのだった。
あんまり猫やるとほんとに猫になる(人間の精神はもろく、用意に外見変化だけで性格がかわる)ので自分知覚を人間にしていたのだが、糸目には自分が猫にしか見えないのだった。

そっか、そういうことか。まきはそう考えて安心した後、一人恥じ入った。自分が猫だと思った瞬間に心地よくタオルに身を任せた自分の感覚が嫌なのだった。

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7日目。

 まきは、シャルルと呼ばれている。もとはシャルルペローだったのだが、女の子ということで、シャルルという名前になった。まきは糸目に離れずに、その背に捕まって登校した。 知らない人が来ると、糸目のシャツの中に逃げた。リスみたいと、笑われた。

糸目はまきの行動を嫌がらず、シャルルは弱虫だな。と言って微笑むだけだった。
二人きりではまきは糸目の肩に乗って、一緒に海を見たりした。綺麗な色の海だった。

二人きりでは、糸目はまきを可愛がった。
「シャルル、いいぞ、シャルル、かわいいな。お前はこの島一番の美人だ。僕が保障する」
あら、直接的な口説き文句ね。ストレートすぎて60点よと、まきがにゃーと鳴くと、糸目は優しくまきの額の模様を撫でて、そうして一緒に家に帰った。

二人はいつも一緒の仲良しだった。
 ただ相手が自分を猫にしか見てないと思うと、まきはそれで、胸がしめつけられた。
もっとも人間だったら、こんな風に仲良くなれるわけもない。


10日目。
 別れは唐突だった。アイドレスが連続20日接続で暴走のおそれありと自動的に接続を切り、まきはシャルルから引き離されて鍋の国に強制帰還したのだった。 接続が切れてころんと肩から落ちるとき、まきは手を伸ばした。考えたことは糸目……石塚がシャルルをなくしたらどんなに悲しむだろうかということだった。

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