電網適応アイドレスSystem4

アクセスカウンタ

zoom RSS バレンタイン御礼・谷口スペシャル

<<   作成日時 : 2007/02/15 23:11   >>

ブログ気持玉 0 / トラックバック 0 / コメント 0

 周囲を見渡して、咲良はこっそりと谷口が借りているヒロイン天国広島出張所派出小隊事務室に顔を出した。
「谷口……?」

「はっ」
谷口は発作的にそう答えた後、咲良の表情を見て自分の声を咳払いし、声色を変えた。
随分優しい声だった。

「どうしましたか?」
なぜか小声である。自分が大声出すと、咲良の青い髪が揺れるのを心配したのだった。

「チョコ、ちょうだい」胸の前で手を組んで咲良が言うと谷口はそのかわいさに全力でやられ、顔をあからめた。
「は?」
それはそれとして、何が進行しているのか、谷口には分からない。日付もそういう日だと言うのが分かっていても、谷口には実感がまったくなかった。そんなものは現実にあるわけがないと、そう思っていた。そもそもにして4人の姉がそういうのをしているところは見たことがない。遠い宇宙の物語であった。

は?と言われて、傷ついた顔の咲良。慌てる谷口。唇をとがらせて視線を下に向けて、咲良は言った。
「谷口は私にチョコを用意しないといけないんだ」
「なぜですか」
それはそれとして谷口は、意味が分かっていないことは素直に口に出してしまう性質であった。
「空先生が、電話してきたんだ」
泣きそう咲良。 たいてい次の瞬間は泣くのではなくて激怒して最新最高最良の指揮官にその言い方は何だから始まる本人でも制御不能の癇癪を起こすのがパターンである。
谷口、咲良の頭を優しく撫でた。
航がするように抱き寄せてとまではいかないが、いつのまにか自分もやるようになった、行為である。

大人しくなる咲良。うなった。
「なんですって? あの人の行方が分かったんですか!?」優しく言う谷口。
「谷口、痛い」
「すみません。あの、それで今先生はどこに」
「分からないんだ。でも先生は強いから、どこにいても大丈夫」
「はあ。そういうもんですか」
咲良が一番なついているのは空先生であったから、咲良のほうが行き先を心配してそうなものである。谷口は、親子としかいいようのないあの二人には普通では計り知れない思いとかがあるんだろうなあと考えた。

「チョコ、よこせ」うなる咲良。髪をなでる谷口。そう言う表情をされたら何でもしてしまいそうな谷口だった。
「分かりました。手持ちはないんで売店で買ってきます。それと、食べたら歯はちゃんとみがくように」

谷口の頭の上に天罰のように猫神絵馬その他(どういうわけか多くが怒っていた)のチョコ12.5個が叩きつけられたのはその直後である。谷口、もんどりうって倒れた。

/*/

追記。少数意見(3.5個)の尊重編

/*/

 誰かに物をやるなどもってのほか、俺の娘なら奪え、献上させろと教えられた咲良が上機嫌でチョコを強奪してもって行った後、横山はその様を廊下の壁に背を預けたまま、谷口が出てくるのを待っていた。
隣には、牧原輝春がいる。

「あんな男のどこがいいんだか」
輝春はそう言った。本人としては、横山を慰めているつもりだった。この少女、自分も同じように絶対結ばれない恋をしている関係で、だから横山だけには色々世話を焼いていた。
「私もそう思います。ロリコン、変態、男色趣味」
そう言う横山。
「嫌いになれたらいいのに」
つぶやく横山。谷口の悪口を言うたびに、何気なく谷口と過ごす日々を思い出してしまうのは、私が悪いんだろうかと横山はそう考えた。
黙る輝春。指で自分の癖の強い髪をくしゃくしゃにして、顔をあげた。
「押し倒せばいいじゃない」
「何を突然いいだすんですか」
顔を赤らめて隣を見る横山。
そっぽを向く輝春。大股で歩き、事務室のドアを大きく蹴って、去った。
慌てて部屋から出てくる谷口。頭を抑えていた。

「なんだ!? ……む」横山に気付く谷口。
「私じゃありません!」チョコを慌てて隠して横山は背筋を伸ばして言った。

谷口、恐い顔を改めた。少し笑った。
「知っている。お前はそんなことはせん」
「私の何を知っているんですか」ついひねくれる横山。言いたいことと口に出すことがことごとく異なる難病にかかっているのは、輝春だけの話ではない。
「普段のお前の立ち居振る舞いくらいはな」
「私がやりました」横山は発作的に言った。
「は?」
「私が蹴ったんです」そう言う横山。挑みかかるように谷口をにらむ。何もかも見透かされているのが、嫌だった。自分が知らない程度に谷口も私の事をしらなければいいんだと思っていた。

谷口は横山を上から下まで見た後、言う言葉を考えた。
「それはない」
「なんでそう言うんですか!?」
「信じている」谷口は心から思っていることを口にした。
「ばか」

チョコを全力で投げつける横山。チョコを器用に受け止める谷口。
横山、顔を真っ赤にした。
「どうせまともな女の子からチョコなんて一個ももらってないんでしょ」
「まともかどうかは、思いには関係ない」谷口はターニのように言った。
「居直りですか?」泣きそうな顔で谷口をにらむ横山。
「いや。投げつけられたものでも、気持ちは入っていると思った」
横山、顔を赤くして下を向いた。なさけない自分が、嫌でしかたなかった。

「怒らせたらすまん」谷口がそう言うと、横山は谷口をにらんだ。
「怒ってません。ばか。そんなことも分からないんですか」
顔が赤くなる横山、そっぽをむいた。
「ああ」
谷口、頭をかいた。
「ほんとにばか。それと、海法先生から手紙が来ました、お願いだから谷口くんとデートしてくれって、アプローを助けるにはそれしかないって」
「相変わらず訳の分からんことを言うお人だな」
「ま、私の嘘かも知れませんけどね」
「それはない」
「本当に嘘だったらどうするんですか!」
「だから、それはない。お前はそう言う奴だ。海法先生も榊先生もな。嘘はつかん。だから、誰か知らんが人が困っていて、俺たちでないとどうにも出来んのだろう」
「いつか人を信じたせいで死にますよ」
「人間はいつか死ぬ。問題は死に方だ」
「勝手に死んだらぶっ飛ばします」
「俺の死体を蹴る権利だったらやる」谷口は優しく言った。
横山が男泣きしたので、谷口は途方にくれて咲良にするように頭を撫でた。

「お前なぁ、いやだから、すまん。本当にすまん」

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ
バレンタイン御礼・谷口スペシャル 電網適応アイドレスSystem4/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる