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<<   作成日時 : 2007/02/13 17:53   >>

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”ヒストリー”より 青にして正義伝

 S43は最近ゴロネコ藩国に引っ越してきた”風を追う者”である。アイドレス世界でも、最年長の部類に入る。まだ腰は曲がっていなかったが、杖はついていた。

ゴロネコ藩国は、国土の大半が森に飲まれた藩国である。ありていに言うと小国で、もっと言うとドのつく田舎で、しかも人口少なかった。

風は熱く、海からの風だけが涼しい。
熱い風と海からの風が合わさって雨雲を生み、だからこの藩国は、良く雨が降った。

 この地方に傘という習俗はない。濡れてもすぐ乾くのである。

だからS43が傘をさしてこの地に着て、枯れ果てた大きな巨木の根元に居を構えたときは、皆はびっくりした。すぐ国の有名人になった。遠くからS43を見に来るものも、多くいた。多くが傘を見たがった。

 S43は若き藩王榊聖よりこの地特有のアイドレス”魔法使い”を拝領すると、1国民として生活をはじめた。枯れ果てた木の腐った部分を鉈で落とし、汗をかいてタールの塗り物をして木々に効く薬を与えた。多くの民が、変わり者だと、彼を噂した。

 S43は夕暮れになると大木を昇り、遙か故郷の森の方向を見るのが趣味であった。
彼は罪人で流されてきたと言う者もいれば、彼はとおくるしにゃん王国の執政だという者もいた。いずれにしても凄い人だというのがゴロネコ藩国の民の噂で、だからきっとあの人はすごい魔法を使えるのだろうと、人々はS43に魔法を乞うた。山羊の乳が出る魔法や風邪に効く魔法、失せ物探しなどがその代表である。

S43は魔法を使うのを丁寧に断り、多くのものは落胆した。
1月もせぬうちにS43に声をかけるものはいなくなった。

 代わりに動物や子供たちが、S43の元を訪れるようになった。季節は過ぎ、一際風が強くなる春の頃だった。
子供たちはS43の住む枯れ果てた巨木に若葉が生えた事を魔法と捉え、動物は、人の余りこないS43の木の周辺で足を休めた。

 戦争とも争いとも無縁のこの地で異変が起きたのはそれからしばらくのこと。
月の姿も見えないほどの嵐の夜であった。西のほうに不気味な赤い光があがり、あれは犬のほうで、国が燃えているのだと布告が走った。
あれではどんな森もひとたまりもない。ゴロネコの民はいたましく思い、一部の敬虔な者は跪いて人の愚かさと罪を悔いた。

 暗い夜、強い雨の中。枯れ果てたにれの巨木の上の方から声が聞こえた。魔法を使わぬ老魔法使いの姿がそこにあった。
S43はどんな夜も退けるほど杖を輝かせるとゴロネコの民には決して分ることのない長い長い詞を唱え、虚空に凛々しく輝く文字を描いた。
にわかにゴロネコ藩国の全域を覆うにれの木々が揺れて輝き、誰にも見えぬほのぐらいあしきものと老魔法使いが戦いをはじめたと、ゴロネコの民に分らせた。

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