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help RSS 電網適応アイドレス<Hello new world>(3)

<<   作成日時 : 2007/01/22 18:41   >>

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 最近アイドレスはトップページしか見ていない。
アイドレスが怖くて仕方なかった。人が密告しあっていて、勝った共和国でも分け前をめぐって争いがおきている。それが嫌でこわかった。

なんで仲良くすることはできないのかなあと、フリースクールの中を意味もなく走りながら、ちょっと泣いた。

「泣くことはないよ」

そう声が聞こえて、私はびっくりして立ち止まった。
ベンチではお化けのように太った猫が一匹、椅子の上に座っていた。

「心が曇ったら、澄んだ空や輝く星を見なさい」

猫がそうしゃべったので、びっくりした。

あとずさりしたら笑い声が聞こえた。傍のにれの木の木陰から、大きな人がふわりとでてきた。
「心が曇ったら、澄んだ空や輝く星を見なさい。貴方の澄んだ空や輝く星が、それが何かは知らないが」

走って逃げた。

「センセイ、センセイッ」吹雪センセイが、いた。抱きついて後ろに隠れた。
「どうした。後藤」
「怖い人が」

大きな人が、猫に手を振った後でゆっくりと歩いてきた。

「やあ、吹雪くん、元気そうでなによりだ」
「東郷さん」
「慕われているようでなによりだ」

吹雪センセイは、少しだけ嬉しそうに笑った。
「後藤、この人はセンセイのセンセイだ。見かけも性格も悪いが悪ではない」
「善なる側だと言いなさい。トーゴです。よろしく」

私は大きな人を見つめた。

「なにか?」大きな人は言った。

トーゴは八神くんのセンセイの名前だった。

「トーゴ、トーゴー?どっち、ですか」
私がそう尋ねると、大きな人は微笑んだ。
「昔、そういう名前の犬がいたんだよ。バルトと、トーゴ。村を救うためにアラスカを走った」

「アラ……スカ?」
「北米、北アメリカの北西の端、寒いところだ。ワクチンがなくてね。村の子供がたくさん死にかけた。移動手段が、当時はなにもなかった」

トーゴさんは、雪の中を見るようにして口を開いた。
「でもあきらめなかったから、犬を使った。犬ぞりだ。子供たちの命は犬たちに託された」

トーゴさんがずっと黙っていたので、私は吹雪センセイの後ろから声をかけた。
「どうなったの?」
「犬はがんばった。村は救われた」

トーゴさんは口だけを笑わせてゆっくりと言った。
「私の愛称は偉大な海軍の指揮官ではない。その指揮官の名にあやかって付けられた、人の友たる犬の名だ」

「トーゴというわんわんは知って……ます。同じかどうか知らないけれど」
トーゴさんは微笑んだ。
「まだこの思い出を覚えているご同輩がいるのは嬉しい限りだ。貴方が名前だけでも覚えていてくれて嬉しい」

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