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zoom RSS 電網適応アイドレス <An abandoned dog>(2)

<<   作成日時 : 2007/01/07 16:03   >>

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山道の中を、車は進んでいる。

 八神少年は、自らの細い足を抱いて、揺れる車内にいた。
車を操るしらいし裕はバックミラーで背後の後席で膝を抱いて座る少年を確認した後、微妙としかいいようのない笑顔を浮かべて考えて、運転に集中しようとして失敗し、声をかけた。

「俺に拾われてよかったな。いやぁ、ラッキーラッキー」

そして無言に耐えかねて、しくしく悲しんだ。同じアイドレスの住民とは言え、異星民と接触するのは、はじめてだった。少年ですらこんなに綺麗なんだから、話に聞くポチ姫はどうなんだろうと考える。

「いやー。だからね?」
しらいし裕は結局現実に立ち返って、言うに困りつつもそう言った。
「僕、棄て犬なんです」
つぶやくように返事を返す八神。帝國風に言うと、しっぽもしおしおの勢いである。
笑って見せるしらいし裕。
「……いいじゃないか。そんなこと。敗戦したとはいえ帝國にはまだいくつも藩国があるんだ。好きなところにいけばいい。なんならうちでもいいぞ」
「……好きなところなんか、わかりません」

涙をこらえている風な八神を見て。しらいしは腹を立てた。理由は分からないが、とにかく腹を立てないといけないと思ったのだった。

「ただお師さまが、大場にいけって。これからはそこで鍛えてもらえって」
八神の言葉を聴いて落ち着こうとし、ハンドルを切りながら口を開く、しらいし。
「そんな藩国はきいたことないな。土場じゃないのか。それならすぐだぞ。うちだうち」

藩王が金で売り飛ばすとか言わないのだけが心配だったが、しらいしはその気持ちを伏せてつとめて明るくそう言った。

言った後で、しっぽもしおしおの勢いで言葉を続けた。
「あー。いや。その、参ったな。元気出してくれ。子供が元気ないと国が滅びる」
「どんな書物の言葉ですか?」 八神、知識欲は旺盛である、悲しみを一時中断して、顔を上げてしらいしに尋ねた。
「あー。いや、うちのばーちゃんの言葉なんだけど」
ちょっと照れるしらいし。
「どんな<理>でそうなるんですか」首をかしげる八神少年。その顔はあどけない、
「理ってむずかしいなあ。え、少年は理力使いかい?」
「はい」八神はそう言った。
「そうかあ。遠距離戦強いんだな」しらいしは平凡な感想を言った。
「お師様が、理力は戦うための剣じゃないって言っていました」
「理想論だとは思うがね。戦の世だ。ああ、いや、気分害したらすまん」
「いえ。議論は好きです」
「ああ、そう」

しらいしは頭をかかえた。少年の気をまぎらわすため、土場につくまでに、議論するネタなんか俺にあったけとそう考えた。

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