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zoom RSS 電網適応アイドレス<Hello new world>(2)

<<   作成日時 : 2007/01/03 12:24   >>

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それから。

 みらのちゃんはソファに寝かされて、ぼんやりと天井を見ていた。
「ごめんね、亜細亜」
「ううん、いいよ。みらのちゃん」

暴れたのがくやしかったのか、みらのちゃんは握った拳のままの細い腕で顔を隠した。

「サイアク、気分悪い」 みらのちゃんはそう言って鼻をすすった。
「大丈夫?」
「……うん」
 みらのちゃんは輝くような黒髪が自慢だ。その髪をなでて、みらのちゃんは自分の背中で髪をふまないように胸の前でまとめはじめた。

「大丈夫か、磯貝」
「吹雪センセイ」
私が言うと吹雪センセイは笑った。やっぱりセンセイは仲間だ。

「気分悪いのに大丈夫はないでしょ」 みらのちゃんは父親の名字で言われるのが嫌いみたいだった。
「ごめん」
「亜細亜には言ってない!」
「……ごめん」

吹雪センセイは、微笑んだ。
「そんなに怒るな。美人が台無しだ」
みらのちゃんの頬が風邪みたいに赤くなった。センセイをにらんでいる。
「嘘ばっかり。こんな色の白いの気持ち悪いと思っている」
みらのちゃんは時々そういうことを言う。ジャッロじゃないビアンコはこの国ではみじめなものだって言う。幸せなのは5歳までだと。
「嘘は言わない。さほど記憶力もよくないからな。センセイのセンセイはそりゃすごい記憶力の人だが」
吹雪センセイは、自由にどこにでもいける人のように言った。
「それに、思ったことを思ったとおりに言って何が悪い」
「センセイ、気持ち悪いっていってないでしょ」
みらのちゃんは弱かった。顔を赤くしたまま言った。
「思っていないことは言いようもない」
吹雪センセイは口だけ笑った後で優しく言った。

「普通こう言うことは聞いちゃいかんのだが、なんで気分が悪くなった?」
「はぁ? なんで聞いちゃいけないの?」
みらのちゃんは身を起こして言った。背が高いといいなあと思った。
吹雪センセイをにらみつける。
「私のことを勝手に決めないで」
「俺もそう思う。だから尋ねている」
「言いたくない」
「そうか、悪かったな」

センセイが私を向いて別のことを言う前に、みらのちゃんはあわてて言った。

「笑うから。センセイが笑うから言いたくない」
「じゃあ笑わない」
「でも心の中は分からない」
「そういう時はな。目を見ればいい。目には神経が集まっていて、ささやかな変化がどうしてもでてしまうもんだ」
みらのちゃんは吹雪先生の目をじっと見た後、急に顔を赤くして背けた。
私はなんか、しぼんだ。

「見れないわよっ」みらのちゃんはかすれた大声で言った。
「そうか」
センセイがどんな風に言ったか、私にはもう分からなかった。
私は足元から黒いものが這い上がってきていて、それで動けなくなっていた。
「……ゲーム」
「ん」
「だからゲームで、ムカついたの」
「へえ。コンピューターゲームか」
「他になんかゲームあるの?」
「まあ、その年齢ならそうかもしれないな。おお、センセイもコンピューターゲームは好きだぞ」
「そういうセンセイ、今までもいた。マリオとかでしょ」
「あーいや、そういうのはあんまり」
「FFとか」
「それもちょっと専門外だな」
「オンライン?」
「微妙に」
「……え、あ、アイドレス、アイドレスとか?」
「ふっ。磯貝は犬か、猫か?」
「センセイ、は?」
「そりゃもう、共に和して自由の旗に栄光を与えんだ」
「私、レンジャー連邦!」
「いい国だなって、おい」

訳が分からなくてセンセイが仲間じゃない気がして、私は耳を塞いでしゃがんだ。
今度はみらのちゃんと吹雪センセイが、私に駆け寄った。

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