13日目(昼)38 エステル&ドランジ(1)

「ほぉ、すごいなこれは」
完全に観光客と化して、ノギは鍋の国の祭りを見ていた。
もとより愛車に至るまで日本好き、浴衣を着流し、上機嫌で式典仕様のアイドレスを見てわははと笑った。あがる花火と風船を見る。

「たまには、こういうのもいいだろう?」
ドランジは少し笑っていった。その大きな背で、エステルの歩く道を作っている。
あまり面白くなさそうに、ついて来るエステル。

「嫌いか?船の中でしかもお祭りだから、少しは気もはれると思ったが」
「人が多いのは苦手です」
「ヤガミみたいなことを言うなあ」
黙るエステル。ドランジ、すまないと言って、上を見た。夜空を映した甲板だった。

「ひょっとして君はヤガミのことを……」
エステルが、顔をあげた。ドランジとノギもあわせて見る。
2本足で歩く猫だった。普通の猫もいた。

顔を赤らめるエステル。ネーバルウィッチはおおよそ猫好きであった。
「ヤガミが、なにか」
「ああ、いや、なんでもない」
いくらヤガミがヘタレでも、誰だけを見ているかははっきりしている。
子供にも分かる話のはずだった。ドランジはそう考えてまた歩き出した。

騒ぎ。

結構な人だかりだ。ドランジは面白いことならエステルに見せてやろうと長身を生かして上から見た。鼻につくにおいは、いつか舞踏子と食べたものと同じだった。

そうそう、ソース焼きソバだ。
ドランジはチープな食べ物が余り好きではなかったが、これをパンに挟んだものについては例外的に大好きだった。

あるなら食べようと、ドランジは割り込んだ。
人だかりは、夜店の焼き蕎麦屋でにわかに若者が景気良く手伝っているせいらしい。
見事な腕前と言う評判であった。

「あいよ、いらっしゃい」
顔をあげるにわか店員。
驚くドランジ。
そしてコウタロー。
手伝う金髪の少女が、コウタローとドランジを交互に見た。

「サヨ、か」
「……ドラケン?」

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