電網適応アイドレスSystem4

アクセスカウンタ

zoom RSS 1日目(夜) 式神の城コース

<<   作成日時 : 2006/12/03 23:16   >>

ブログ気持玉 0 / トラックバック 0 / コメント 0

第6世界、2008年11月30日

 自動車雑誌を広げて庇にして、光太郎は広大な庭の見える縁側にいた。
豊かな魔力を使った魔法でシールドされ、冬の風は遮断され、そうして光太郎に、ひと時の安らぎを与えていた。

 安楽椅子に揺られながら読書するふみこは、読書の手を休めて光太郎を見て微笑むと、そっと毛布をかけてやった。ついでに雑誌をとりあげ、優しく微笑み、目を軽くつぶってその唇を奪う……前に、横から小夜が力いっぱい押し、ふみこは盛大にぶっ倒れた。

「あら、半妖、敵はいないから貴方の出番はないわよ」
眼鏡を戻しながら、ふみこ。
「だれが半妖ですか!」
がるる状態の、小夜。長い髪を揺らしてザサエがかつてそうしていたように、光太郎の眠りを護った。
正座して、対抗するように前に出るふみこ。
「どんなに護っても無駄よ。貴方、もう人間じゃないんだから。さっさと私達の結婚を認めてどっかいきなさい」
「私は人間で、この人は結婚していません。それとどこかにいくことも出来ません!」
自ら前に出て言い返す小夜。
「言うようになったわね。小娘」
「慣れましたから!」

 口論で目が覚めていた光太郎は、笑い出した。起きたらあまりに平和で、それが面白かったのだった。
起き上がり、ふみこたん、夜襲禁止と指さして言った後、小夜の頭を軽く叩いて、自分は名前で呼べというのにこの人はないだろと、笑って言った。

伸びをして、意識を集中する。
地球全域の数多の悲しみ、それは大海のような印象を感じつつ、その悲しみを減らそうと戦う者たちに、神々に、魔力を送り出す。リューンが天に昇る雨のように広がり、そして消えていった。

 東京市全域を包む守りの力が復活し、神々が、正しく力を使い始める。

魔力の放射をあびてふみこが心地よさそうに目を細めた。極めて魔術的な彼女は、光太郎の傍にいるようになってから、急速に力を取り戻しつつある。

「どうかしら、魔法の国の、巨大な電池になった気分は」
「別に、俺は俺だし。みんなを助けられるわけでも、全部を解決できるわけでもない。少しだけ、みんなの力になれる。それだけ」
「それだけね……まあいいわ」

 光太郎は、歳を経るごとに晋太郎に似て来た。
特に少しだけ憂いを帯びて微笑むと、晋太郎を知る多くの者が、息を呑んで、ついで泣き笑いした。晋太郎が戻ってきたような気持ちになったのだった。

「それより貴方、自動車を買うの?」
「ああ」
教習所にいかなきゃと、少し恥ずかしそうに笑って言う光太郎に、あきれるふみこ。目を全開にして光太郎を見る小夜。
「飛んだほうが速いのに」
あきれたまま言うふみこに、光太郎は優しく笑って言った。
「いいんだよ。歩いたり自動車乗ったりするほうで。どうしても誰かを助けるためなら空飛ぶのもいいさ。でも、いつも飛ぶ必要はないだろ?」

彼はここのところ、つとめて自分自身では魔術を使いたがらない男になっていた。
調和を重んじ、一歩一歩進むような、そんな生き方を、好んでいる。

 ふみこが顔を赤らめるような優しさで微笑んだ光太郎に、血相をかえた小夜がダメですと言った。

驚いて小夜を見るふみこと光太郎。

「ど、どうしたの小夜たん」
「駄目です……自動車は駄目です」
そこまで言って、小夜は涙を流した。透明な涙だった。え。あ、俺?と周囲を向いて自分を指差す光太郎。

事件は、こうしてはじまることになる。

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ
1日目(夜) 式神の城コース 電網適応アイドレスSystem4/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる