電網適応アイドレスSystem4

アクセスカウンタ

zoom RSS 12日目(昼)35 崩壊舞曲(2)

<<   作成日時 : 2006/12/14 14:48   >>

ブログ気持玉 0 / トラックバック 0 / コメント 0

谷口!気がつけ!!

さくらつかさ@薄花桜
2006/12/14 12:01

/*/

 谷口は気づいた。

谷口は咲良の頭を軽く叩いて、それでは行きましょうか。隊長と言った。
「谷口……」
遅れて、頭を手で防御して谷口を見る咲良。
「厄介になって飯ばかりくわせて貰うのもなんですからね。ここは一つ、我々でどうにかしましょうか」

/*/

 善行、青、舞、源、英吏、各神族行方不明の中で防衛戦は展開された。

次席指揮官になったのは青い髪の少女である。

「動物兵器は使わない」
指揮を取ることになって咲良が最初に言ったのは、それだった。
「みんな怪我している。私が指揮する間は、動物兵器は人間に準じた処置とする。戦傷者は待機」
この時の判断は、後の人から同じ遺伝子調整を受けた兄弟のようなものだからと言われることもある。
だがここでは素直にそのまま、描こうと思う。
つまり石田咲良という人物は動物好きであり、戦場にあってもそうだったと。
彼女には物をしゃべる馬と鼠の友達がいて、だからそれゆえに、意地を通したと。

「山岳騎兵の諸君には悪いが、ここは歩兵に任せてもらう」
咲良はそういい、ただ瀧川機のみを連れて戦うこととした。

「全員、聞こえますか」
久しぶりにヘッドセットをつけた咲良は指でマイクの位置を動かすと声をいれた。

その耳あてから聞こえてくるのはいつもの雑音と、懐かしい戦場音楽と、そして仲間の声であった。

「谷口です。聞こえております」
「横山、聞こえています」
「菅原、万事OK!」
「工藤、聞こえています」
「野口、聞こえています」
「虎雄、大丈夫です」

咲良は顔をあげた。ウォードレスどころか銃すら持たない指揮官である咲良の武器はこのヘッドセットだけだった。このヘッドセットから流れる声こそが、敵に痛撃を与え続ける彼女の剣であった。
「人型戦車に先行して偵察開始。ケース12、想定8、暗号符号99年12月パターン、かかれ」
「了解っ」

 ひどく明度を落した塗装のアーリィフォックスの群れが山野を静かに走り始めた。

「2人ピクニック」咲良は言った。
「了解、ピクニックはたのし」谷口は真面目に言った。
「トラ、一緒にいこ」
「わかった」
「工藤さん、僕とどうかな」
「えー? まあ、いいけど」
「谷口……あの、私と」
「いくか、横山」
「はい」

狙撃銃を持った横山、工藤、菅原は竹林の中で寝そべって銃を構えた。
それぞれがペアを護るために後方に位置する。

体力不足の女子の運用として咲良と谷口が編み出したのが前衛男子、後衛(狙撃)女子という組み合わせだった。

近代の歩兵戦をぐるりと一周して、最高の貧乏所帯と呼ばれた学兵部隊が生み出した戦術。
それが男は前に、女は後ろにと言うひどく前近代的な配置だった。

 扇状探索。谷口は2倍の面積を受け持ち、他は左右を受け持った。

動物兵器も使わずに人間の目が膨大な面積を探索し始める。

「弁当を広げるに最適の場所発見」 敵を見つけたのは野口だった。
「先客は」咲良は地図から目を離して目をつぶって風景を想像した。護衛の有無を聞いた。
「いません!」野口の声。
「こちら工藤、たしかに先客はいません」

咲良は4秒考えた。護衛がいない大型幻獣なんてものがあるのだろうか。
「谷口、弁当を広げにいって」咲良は最も信頼のおける自分の分身を送った。
「分りました。急ぎます」
谷口は斜面を滑り降りながら優しく言った。
 彼が持つのは結城火焔から借りた一本の青竜刀であり、彼はこれを小指の先にひっかけてくるくるまわして肩に乗せて微笑むと、上出来ですよと甘く囁いた。

咲良は顔を赤くした。みんなが聞いているのは間違いなかった。

「場所、とれそう?」
「デートには絶好ですよ……目が4つ飛び出ています。100m。大きいが弱点をこんなにさらけだしているんじゃあ」

咲良は顔を赤くしたまま自分の頭を叩いて、頭を巡らせた。

「谷口、弁当広げるの中止」
「了解しました」
谷口は遮蔽を取って待機した。横山が走ってきてカバーに入った。畑の向こう、ぐるぐるまわろうとする巨大な敵を見た。

「こちら野口、なぜですか」野口は木々の影からたくさんの足が生えた幻獣を見上げながら言った。

「あやしい」
咲良は一発で看破した。その場にもいないし同じ空気も吸ってなかったが、どんな画家も舌を巻くほど、ただ想像力だけで色鮮やかに状況を頭に思い描いた。

谷口が騙されやすい状況だ。 彼女は考える。だから注意することにした。
「護衛もなしで弱点をみせつけて敵が一匹。攻撃してくれと言う敵のメッセージだと思う」
「いつか橋を爆破しにかかった奴と同じかな」菅原の声。
「その可能性が高い。でも、違うかな。あの時は陽動もあった……谷口、意見を」
「現在目視中です。幻獣ではないかも知れません。煙を出している」
「味方の可能性は」咲良は、これが戦場でなかったから恋人に尋ねるようにきいた。
「ありません。見たこともありません」谷口もそれに答えるように言った。

「敵性物をアウンノンに変更。谷口、命令あるまで戦闘禁止、視察続行、野口、工藤ペア撤退、横山下がれ」
咲良は偶発的事故で戦端が開かれるのを恐れた。即座に兵力引き離しに入る。
こういう時に頼りになるのは谷口だけだった。

彼女は彼が命令を護って自衛戦闘さえしないだろうということを知っている。
自分の指揮、判断ミスだったらどうしようと手が震えたが、彼女は握りこぶしをつくって後ろ手に隠した。

「アウンノン、目玉が引っ込んだ。旋回をやめて休んでいる模様」
「ホールド。長期戦に移行する。瀧川機、一旦後退」

戦闘しないことが名将であることも稀にはある。咲良は善行ほど獰猛でもなく、青ほど強くもなかったが、だが二人よりも素直で無理を通すほど傲慢でもなかった。

戦場は膠着状態に入った。

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ
12日目(昼)35 崩壊舞曲(2) 電網適応アイドレスSystem4/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる