11日目(昼)33 ペロ登壇

一方その頃。ネットの反対側。

<ペロ課長、ぽち王女から遊ぼうと連絡が着ております>
「却下だ。仕事がある」
<ペロ課長、役員会議のお時間です>
「もっと大事なことがあるのでアイドレス工場に詰めていると答えろ」
<了解しました>
イエロージャンパーを羽織り、ペロは新しい眼鏡をかけた。
<ペロ課長、第22工場、視察のお時間です>
「了解した」
ペロの自室は第22工場の真上にある。それが彼の、ささやかな特権であった。チューブを降りながら新しい機体を見た。
おそるべき生産能力を誇るわんわん帝國はテラ領域用のアイドレスを60分に1機の割合でロールアウトさせており、侵攻艦隊は次々と艦容を整えつつあった。

1万mの藩国の艦首ブロックにいたるまでが工場である。

新しい機体が、吊り下げられたまま建造を続けていた。
目玉を動かし、ペロを見るアイドレス。エンジンが自動始動し、コクピット・ハッチを開放させた。

銀色に輝くその機体は無塗装ではなく、銀色塗装の上に無色塗装が行われ、完璧に磨き上げられていた。

「MAKI、進捗状況を」無意識に手に持った小箱を回転させるペロ。無重力空間で正方形の小箱はくるくると廻った。
<装甲の取り付けはまだですがメーンシステムの98%は完成です。操縦系統はアリアンベースにしますか?>
「いや、ヤガミベースで」
<了解しました>

「武装は?」
<現在ウエポンシステムそのものを入れ替える形で製造が進んでいます。>
「水中戦闘装備を優先させてくれ」
<了解しました。開発優先順位を入れ替えます>
<医療ブロックから連絡、滋賀様、岩手様、ともに目を覚ました模様です>
「了解した。すぐにいく。準備出来次第テスト飛行を開始する」
<2時間31分で出撃を開始します。タイムカウントダウン開始>

「それと」
<なんでしょう?ペロ課長>
「ぽち王女に連絡、2時間だけだと伝えてくれ」
<了解しました>