10日目(夜)24 ガンパレード・オーケストラ(白) 4

 谷口は速度を、あげた。人間砲弾という風であった。
横山はしゃがんだまま目をあけた後、ついで立ち上がって谷口を追いかけた。
「待って、待ってください!」
「話は後でだ!」
足がもつれて倒れる横山。最近泣き虫なので、泣いた。
「置いて行かないで!」

戻ってくる谷口。横山を抱いて走った。

厩舎まで滑り込み。横山を下ろし、泣くなと言った後足で分厚い鉄のドアを叩き破った。
「隊長っ!ご無事ですか!」
「バカ!なんで来るのよ!」咲良は、谷口、来るなと指示を出していた。
そんな声を完全に無視して、口を開く谷口。
「貴方が泣きそうな声で自分の名前を呼べば来ます。この世だろうと、そうでなかろうと。それで文句があるなら自分を嫌いだと言ってください。さあ悪漢め、その手を離せ」
「”私が”噛みつれているんだが」指差すロボ。咲良は、ロボの頭に噛み付いていた。
「すみません」
「なんで謝るのっ!?」傷ついた顔の咲良。
「いや、多分貴方が誤解していると思うから」
谷口は涙目の咲良に微笑んだ。
「私が大事なのは分かりますけど、私は胃腸をのぞけば丈夫ですよ。強いとは言いませんけどね」
「それで怪我したらどうするの?死んだら?」涙を両手でごしごし拭きながら、咲良。心配したジジが、咲良の頬を舐めた。
「先にお待ちしております。ゆっくりでいいんで追いかけてきてください」
「嫌だ。一緒がいい」
「だったら私より16年は長生きしてください。それで同じ分だけ生きたことになります。さて、大統領補佐官だか知らないが自分の隊長を泣かせた罪は重いぞ。反省してもらおうか」
それとなく動いて咲良を引き寄せた谷口に、ロボは笑って言った。
「反省しないように生きているんでね。どうでもいいが、僕と来ないか」
「嫌です。あんまり知らない人についていってはいけないと自分は姉から教わっています」
「たくさんの人が困ってるんだ」ロボは静かに言った。
「助けたいとは思います。ですが、自分の周りすら自分は十分に護れても助けられてもいません」正論にはきちんと正論で返す谷口。
「やれやれ、君は本当に、目の前の誰かが泣いてないと駄目だな。あー」
ロボは咲良を見て影法師から貰ったアンチョコを読み上げた。一番読み上げるのが恥ずかしくないものだった。
「大丈夫。必ず返しに参りますので、どこかの誰かの未来のため。彼を一時お貸しください」
「嫌だ。谷口は渡さない。貸すのもやだ」咲良、直球。
「谷口はその、胃腸弱いから駄目です」横山も援護を開始した。
「減るもんじゃないし、命くらいは保障するから」ロボ、苦笑して言った。
「人に触らせるのが嫌だ」咲良、剛速球。なぜか照れる谷口。横山に肘鉄をくらう。


谷口勧誘作戦、失敗。

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