6日目(夜)18 芥辺境藩国防衛戦:戦闘詳報前

 レムーリアから芥辺境藩国に向け、多数の彼我不明が出現したのは、12月8日の昼前であった。
12時頃には彼我不明が敵性と認められ、共和国大統領は国家緊急事態宣言を出して事態の対処に乗り出した。
敵性飛行隊の数は80.防御側が3倍有利と言う古来の戦場の鉄則を鑑みても、単独防御は不可能と思われたのである。

芥辺境藩国が滅亡すれば、レムーリアと隣接する第5世界のリンクゲート全部が閉ざされる。環を描いて存在するにゃんにゃん共和国は分断され、10を越える藩国各個撃破されて敵に飲み込まれることになるだろう。

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 芥辺境藩国は、小藩の一つである。
風光明媚なところだけが自慢で、ありていに言って、田舎であった。
辺境というのは伊達ではない。
もっとも、藩王荒川真介そのものは田舎を愛する偏屈人として知られ、野心らしい野心も、さしてなかった。

古墳と水田が、この国の名物である。
梅雨の前には蛙の鳴き声が聞こえるのが、今は懐かしく思われた。

藩王荒川真介は、刈り取りが終わった田を見ること数分、背後のアイドレス工場を見た。
動くアイドレスは一つもなく、ついでに、国庫は一度の出兵で、既に空であった。
頼みは自由戦士達と、同盟国の軍勢だけである。

レムーリアに人助けとして兵を送ったのが失敗だったか。王は思う。
いや、そうではあるまい。人助けをして失敗などということがあってたまるべきもない。
傍に座る王猫コジロー2世が、そうだと言うように、にゃんと鳴いた。

次々と離脱していった友藩に恨みはなかったが、王は、共和制の欠陥だなと、そう考えた。
この滅び行く藩国に新たに同盟を申し出た国家は海法よけ藩国のみである。

「海法よけ藩国。聞いたこともない国だ。だが共に和して自由の旗に栄光を与えるとすれば、あるいはそういう国かも知れぬ」
王は風に向かってそう言うと、ゆっくりと王城に戻り始めた。

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