5日目(昼)13 大絢爛舞踏祭コース1(主人公不在の日)

 舞踏子のいないところで、歴史は動く、と言う。
絢爛舞踏祭とその続編系統だけで存在する、格言である。

この日はちょうどそんな日で、ヤガミとエステルは、少しばかり小洒落たカフェテラスで、二人で並んでお茶をすすっていた。

「なんですか?」小さな手でティーカップを大事そうに持ってお茶をすするエステル。
「頼みがある」ヤガミは、片手でつまんで、飲んでいた。

頼みと言うのは、なかなか隔壁でも降りない限りヤガミからはきけない言葉だった。
怪訝に思いつつ、ヤガミのほうを伺うエステル。
「……どうぞ」
「すこしばかり、この世界を離れてくれないか」
「……はぁ」

予想外のことを言われて途方にくれるエステル。
ヤガミはティーカップを置くと口を開いた。

「舞踏子が我々の関係を疑っている」
「えぇ? だって誤解解くための説明したって!」驚くエステル。
「やった。すごくやった。毎日やった」顔の前で指を組み合わせつつ、ヤガミ。
「はぁ。まあ、なんとなく分りました」
 舞踏子ちゃん、しつこいから…… そう思った後納得するエステル。軽くため息。
頭を下げるヤガミ。
「頼む」
「分りました」
「すまん。数日で何もかもけりをつける」
ヤガミは小さな小箱を取り出して見せてそう力説した。数日で海に投げ捨てられたりするアレであった。

小箱の意味は、エステルには分からない。同時にエステルは、どこにいこうと思ったが、そのことはヤガミには言わなかった。
代わりに言ったことは別のことである。
「私を船に迎え入れたこと、後悔していますか?」
立ち上がったエステルがそう言うと、ヤガミは優しく笑った。
「まさか。俺は色々失敗したが、この件については大成功だと思っている」
少し赤くなるエステル。
「たぶん、そう言うところが、誤解受けていると思いますけど」

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