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zoom RSS リターントゥ神々の宴(27)

<<   作成日時 : 2006/12/02 23:40   >>

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 光太郎が相田翔の死を知ったのは、ゴールデンウィークが開けてからのことである。

月子と兄と、祖父と幸せなと言っても良い連休を送った光太郎は上機嫌で登校し、そこで事実を知ることになる。

万事に遅い光太郎は、死ぬという意味が、この頃まだ分かっていなかった。
周りが沈痛な顔をしているのを、彼はなんでと、聞いている。彼にとっての初めての死は、相田翔だった。

死ぬの意味が分かったのは家に帰る時のこと、自分の助言が姉妹を殺したと蒼白になっていた晋太郎からその意味を聞いてからである。晋太郎はいつもなら光太郎の成長にあわせてゆっくりゆっくりとものを教えるのが常だったが、今回は、いつものその余裕がなかった。

晋太郎は、不思議そうで、そして仲直りどころか会えもしないことに苛立っている光太郎に、こう言った。

「死ぬというのは、終わることだよ」
光太郎は、意味が分からなかったが、根気良く聞いた。
「兄ちゃん、何が終わるの?」
晋太郎の表情は、険しい。その内面では、自責の念が嵐になって渦巻いている。
彼はそっけなく、短く言った。
「生きることが、その人はもう動かなくなって、何も出来なくなる」
「話せなくなるの? 仲直りは?」
「全部だ」
彼は、自分に言うように言った。
「全部無理なんだよ。もう、何もできない」

普通発達段階での死の理解というものは、自分が死ぬという動かしがたい事実を理解する段になって恐怖がわきあがってくるものだが、光太郎の場合は、そちらは別段恐怖にも思わなかったし、終生、思うことはなかった。彼は兄と同じく、そしてそれ以上に自分自身の価値に頓着がないところがあった。

光太郎は力を込めて黙って歩く兄に引っ張られながら、自分が翔にひどいことをしたままだったと思って、泣いた。

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