3日目(昼)5 ガンパレード・オーケストラ(青)コース

 一方その頃、南の島、小笠原である。

疎開が進む島にあって、現在なお唯一開いているお土産屋兼生活雑貨屋兼お菓子も置いてある表通りの店で、子供たちが秘密の会合を開いていた。

「てーさつしゅーりょーっ!」
そういいながら、両手を広げて走ってきて急制動でとまって会合に参加したのは、チビの松尾健太郎である。チビながら島一番のワルガキで通っている、ありていにいって、元気ものであった。太陽の恵みを一身に集めたような、日焼けした肌をしていた。
「ののちゃんどうだった?」
鼻をぐずぐず鳴らしながら尋ねたのは小野正義である。こっちは、不健康そうだ。
「まだ落ち込んでた?」
日陰で背伸びしたり、元に戻ったり繰り返す、真っ白の肌で、プラチナ色の髪の少女、山本えりすが、心配そうに尋ねた。彼女も元気なのだが、日焼けは出来ない体質だった。その前に火ぶくれが皮膚に出来てしまう。

「あー。落ち込んでる。体育座りしてた。希望はざせつしたのよって」
「うーん」
 腕を組んで悩む年少組三人。一応三人ともが、軍属である。

「で、年長組は?」
顔をあげて松尾が尋ねると、小野は鼻を鳴らして口を開いた。
「転校生にきいたけど、まだ会議中だって」
「ひどいよね、大人って」
えりすは、不満やるせないようにして、言った。
「ののちゃん、傷ついているのに、会議なんて」
「仕方ないよ、大地震で望遠鏡が傾いちゃったんだから」
フォローする小野、えりすににらまれて、びびる。
「仕方なくないわよ! どっちが大事かって言ってんのよ! クラスメイトのほうが大事に決まっているでしょ!」
往々にして大人よりも子供のほうがずっと正しいことを言うことがある。
足元を旅する兎は煙草を吸いながら、そう考えた。

三人で兎を見送った後、議論を再開する。
「どうする?」松尾、額を近づける。
「どうにかして元気になってくれないかな」同じく額を近づけて、小野。
「ばか、そのためにかいごうしてるんでしょ?」顔を近づけて怒るえりす。
「お菓子あげるとか、俺、アイスバーくらいなら買える」ナイスアイデアな顔の松尾。
「ばかね、失恋の痛手はそういうのじゃいやせないのよ」腕を組むエリス。
「あれ、辻野は?」松尾は移り気である。ここにいない、年少組のことを聞いた。
「友美ちゃんは田島さんと料理作ってるよ」小野、鼻をならす。
「そうか、料理食べれば元気になるよ。俺なら一発だ」ナイスアイデアな顔の松尾。
「だーかーらー」あーもー男子は何にも分かってないと髪をかきむしるえりす。
「うーんじゃあ……」小野は考えた後口を開いた。
「中村さんに相談してみようか」
「それだ!」「それよっ」