2日目(夕)3 ガンパレード・マーチコース1

 熊本は平和であった。そしていささか、寂しくもあった。
2代目の5121小隊隊長、そして車椅子の司令として知られる狩谷は、新人に訓練指示を出しながら、ため息をついた。

電話でもしてやろうかと考えるが、前向きになったとはいえ、ひねくれ者はひねくれ者である、なんで僕が電話かけなければいけないんだ、みんなが電話をかけてくるべきだと考え、ついでみんなはひどい奴らだと、思ってもいないことを考えた。

 入室。

どうせ加藤だとか思いつつ、狩谷は咳払い。一応組織の長として、そして善行の影響をもろに受けた関係で、ノックぐらいしてくださいと丁寧に言ったところで、その端正な顔をしかめた。

 嬉しそうな加藤が、黒電話もって電話しながら入室してきた。
ケーブルをひっぱり、足でドアを閉める加藤祭。周囲に人がいないことを確認した後、狩谷は怒った表情を隠さず、「行儀が悪いぞ、祭」と言った。

楽しそうに喋りながら、手を合わせてあやまる加藤。ウインク、好きやでの口真似。
狩谷、僕は嫌いだと、口真似。少し笑って、仕事に戻った。善行と原のような関係になりたいと思いつつ、なんだかんだで加藤には甘い、狩谷だった。

加藤のはしゃぐ声。そりゃ確かに後輩には聞かせられないくらいの、声だった。
「うん。いまなっちゃんとおってん。うん……未央ちゃんは……そっち、やっぱり暑い?」
 壬生屋か!?と仕事がとまる狩谷。加藤、ちょっと勝ち誇った顔。好き?好き?とコードを指で絡めながら、狩谷に聞いた。顔を赤くしてそっぽ向く狩谷。芝村みたいだなと思う。
「瀬戸口くんも元気?あ、やったらなっちゃんに替わろうか?」
「元気ならそれでいいんだ」
狩谷は強がった。完全に勝った気分の加藤。胸を張る。

「瀬戸口君が替わりたいといったら?」
「じゃあしょうがないな」

祭の笑顔くらいはがまんしようと言うことで、受話器を受け取る狩谷、表情は明るく輝いた。

「どうだ、小笠原は?美人は一杯いるかい?」
そして加藤が頬を膨らませたのを見て満足して、返事をまった。最近、電話のつながりが悪くていけない。
「美人、あー。いや、それがまあ、色々邪魔があってな。ははは。いて、イテ!」
怒った声を遠くで聞いて、狩谷は微笑んだ。目をやれば加藤が嬉しそうだったので、少し照れた。
「うん、なんとなく全部つかめたよ。希望ちゃんは?」
「あー。それが落ち込んでる。ふられたとか、なんとか。参ったな。どうしたもんだか」
「下手なことを言わないほうがいいな。特に僕たち男からは」

 とりあえずふった奴は殺そうと狩谷は考えた。瀬戸口が先にやっているだろうから無傷のところもなかろうが。

「で、どうしたんだい?え?」

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