2日目(昼)2 大絢爛舞踏祭コース2

2日目(昼)2 大絢爛舞踏祭コース2

 かつてのそれと違って、RBの操縦系統は、大きく変化している。
胸を強打する可能性があるバイクのような操縦系は改められ、全身を前後から挟む通称タイヤキ方式になり、フライトスーツの着用が義務付けられた。

グラム・リバーは、いまや全軍の知るところとなったアリアンのイエロージャンパーに袖を通し、そして笑った。自分を包むこのむにゅっとした感覚が、戦闘するための機械の感触とは、到底思えなかったのだった。

 視界の端からベスが喚きながら走ってくるのが見えたが、無視。
ハッチが完全に閉じる。
目に優しい、間接光でトポロジーレーダー2が表示された。夜明けの船から伸びたケーブルから情報が流れ込み、戦術情報が左右に割り振られて表示される。

「約定を果たす。俺もまた、希望の先駆けとして参戦する」
グラム・リバーはそうつぶやくと、生まれたときから人型戦車を使ってきたかのように易々と難物機を操りはじめた。二本の腕で四本の腕を操ってみせる。

 後腕左右にシールド発生器が二つ。前腕左右に剣鈴とY型魚雷発射管を装備した。

「たのむぜ、マル」
「イエッサー!」 グラムのボールズは、そう言った。

 400mを越える夜明けの船2世号を操るキュベルネスの腕は確かだった。
あれだけの巨体、RBと比べれば圧倒的に劣る機動性能でで30本を越える魚雷回避をやってのけている。

やるな、おっさんと思いながらグラムは感覚を解放、未来予測を開始する。
20秒先の未来が、いくつもの三角形で見え始める。

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 艦橋ではエリザベスが鼻歌を歌っていた。息子だけを戦わせるのは彼女の矜持が許せなかった。そして今、彼女の矜持はまったく満たされている。
「いくよ、野郎ども、海賊らしくしな。前面、シールド展開。戦闘展帳!」
<了解しました。戦闘展帳を開始します>

キュベルネスは義手を広げ、分割、手を三つにして操舵を開始した。
操鑑に忙しく軽口を言う余裕はなかった。

「突入面クリア後、後面のシールドを展帳する。それまでの余裕時間は800秒だ。ハリー」
「飛行隊、準備は出来ている」
物静かなというよりも、瞑想しているような静謐なハリーの声。
笑う
「そんなことじゃない。ミカを泣かせるんじゃないよ?」
「作戦中の私語は厳禁だと思うが」
長い時間かかったわりに、ハリーの応答は月並みだった。
「自覚はありそうだね」
満足そうに、エリザベス。糖尿で入院だ改造なんだで現在の彼女はかなり筋肉質だった。
ため息をついて、ハリーは口を開いて応答する。きっとパイロット全員が耳をそばだてているのに違いなかった。
「年齢が親子ほど離れているくらいには。オコーネル小隊、注水開始する!」