番外 戦闘詳報 Aの魔法陣による大規模作戦(3)

 第二中隊、かくたは敵が失った右翼側を一気に取り戻そうと当機的な攻撃として運用されていると思われる敵の大型土偶(戦車相当)に集中攻撃を開始した。

それら土偶に、北欧神話の名前がついていることを、彼が知るのは生きて帰ってからの話である。

ともあれはこの頃の彼は優秀で趣味のテニスやメードなど思いもつかない勇敢な指揮官である。景気良く全火力を投入し、側面からの攻撃を開始した。

 敵2両のうち、1両を撃破。
かくたの目が点になる。

敵の装甲、ミノタウロスの20倍以上。
推定数値をきいて大隊長、美津野涼子以外がひっくり返った。
美津野涼子は土偶の美少女が一人乗っていると聞いて、どんな美少女か伝令に事細かに尋ねていた。

敵の装甲、ミノタウロスの20倍以上。
となると機関銃はまったく効果なし、自動砲も効果がない可能性が高かった。
対戦車ミサイルは、部隊に潤沢にあるとはとても言えず、これが、部隊の攻撃を困難なものにした。

KVだ!KVがきたぞと、どこぞの戦車長なら喚いて突撃していることだが、幸いにも大隊にはあそこまで偏執的な人間はいなかった。
大隊全部をあわせても人型戦車は一両あるだけである。

「とにかく攻撃だ」
陸軍にありがちなことは、このセッションでは全部あった。
数えればそれらはいずれも参加者がうなずくであろう、あれやこれやである。
つまり部隊編成の大変さや移動するだけで、大騒ぎになる運用、武器のミスマッチ、司令部の思惑から外れた戦闘、状況がまったく読めない進行、などなどである。

そしてその中でも最も兵士にとってありがたくないことが、この戦いでも、起きた。
それが、
「とにかく攻撃だ」
である。

大体本部としてもこういう命令を出したくて言っているわけではない。
他に手がないのである。

結果、敵の進行方向正面にいるXH―834の第4中隊がかくたの第2中隊とあわせて攻撃を開始した。

 敵の反撃による長大なレーザーが発射されるその前に、決死の攻撃が開始される。

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 第四中隊には、伏見小隊伏見班には、まだら牛、で知られる斑田 汐と、いわずみで知られる岩仲 龍という人物がいる。
中隊を構成する各小隊の中で、99式直接支援火砲をまとまって、といっても2門だか持っているチームは、これだけであった。

しかも99式直接支援火砲は大変に重く、手で持って運用するのはほとんど不可能であった。弾頭だけで30kg、システム全体で80kgを越えていたのである。

これに、前日引き続いて大活躍の同小隊ながみ班の高機動車が加わって、臨時の”無装甲”対戦車チームが編成された。

中国自動車道の上を、高機動車が全速で走る。
他の味方は目くらましで全面射撃。下の道を通る大型土偶に、
斑田 汐と岩仲 龍が支援火砲をぶっ放した。土偶、頭上からの攻撃で爆発する。

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 第2、第4中隊のありったけの火力の中から少女が一人、歩いてくる。
表情はなにもうかべてない。
黄色のペンダントが、揺れている。

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この時の大体本部のやり取りは以下の通りである。

―――――本部の報告
りょー@大隊長:少女は赤い布も首に巻いてます?
芝村SD:いいえ。りょーさん。どうする?
りょー@大隊長:私の前に来るんですか?

芝村SD:いや。
芝村SD:このまま戦闘を続行するかどうかだ。

りょー@大隊長:対話は無理なんですよね?

芝村SD:無理だな。
芝村SD:既に戦闘は行われている。

りょー@大隊長:歌は通じるでしょうか? 楽器持ってるので

芝村SD:歌ってみるのもいい。

りょー@大隊長:あの ビアナアーラですか

芝村SD:黄色だから違う可能性はあるね
芝村SD:りょー。
芝村SD:戦闘を続行するかね?

りょー@大隊長:はい

芝村SD:OK.

りょー@大隊長:歌ってみます
芝村SD:少女は何事か歌を歌い始めた。
芝村SD:0707.地面が割れた。
芝村SD:0708、地面が割れた、

りょー@大隊長:ふぎゃ!?
芝村SD:709、710、711、712.地面が割れた
芝村SD:大地が割れて浮かび上がりながら歌にあわせて崩壊していく。
芝村SD:10
芝村SD:9
芝村SD:8
芝村SD:7
芝村SD:6
芝村SD:5
かくた@正面第二中隊:てったいします
りょー@大隊長:歌をとどかせます
芝村SD:4
かくた@正面第二中隊:>第二中隊
芝村SD:りょーは死んだ。
りょー@大隊長:やめてください!
かくた@正面第二中隊:じわれにのみこませないように
ちゃき@第五中隊中隊長:こちらも撤退
古河切夏@第一偵察中隊長:第一小隊詩歌班後退させます。
かくた@正面第二中隊:のみこまれないように!
芝村SD:かくた、撤退開始、ちゃき、古河、撤退開始
芝村SD:即座の判断が生死を分けた。
XH-834@第四中隊:こちらも撤退開始します
芝村SD:第4中隊、撤退。
芝村SD:10
芝村SD:9
芝村SD:8
ニンジャ:撤退します。
かくた@正面第二中隊:もちろんてったい
古河切夏@第一偵察中隊長:0409の残り小隊もサターン小隊に伴い後退させます。
芝村SD:撤退した。
芝村SD:一人を前に大隊は後退する。
―――――

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NEXT GAME ”第2次黄金戦争”


―――――第二中隊、刻生・F・悠也の報告
「まったく、たまんないな」
 苦笑を浮かべつつ、引き金を浮かべつつ、引き金を引き続ける。
「今まで生き残ってきたんだ。今日だって生き残るさ!なぁ、みんな」

銃声に負けず、声よ皆に届けと叫ぶ。

それは「諦めない」という魂の咆哮。人身御供にされた者が戦場で得た
たった一つの想いだった。


撤退を命じた、中隊長、かくたが空を見上げれば、尾関山までが崩壊し、山様を変貌させていた。

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