最終日(夜)54 コウタロー&アプロー ちゅどーん

 光太郎は連絡先を交換して、ドランジと分かれた。
互いに連れがいたし、出来ればゆっくり、二人で話したかった。

上機嫌に飛ぶコウタローを、アプローが心配そうに見ている。
距離が、開いた。慌てて追いつき、コウタローの腕にしがみついた。
鍋の国のデートスポットとして名高い、猫の形の灯台が見える、そんな場所でのことだった。

「おわっ、なんだよ」後ろから抱きつかれてバランスを崩す光太郎。
「どこにもいかないで」
アプローはささやいた。
「は?」
間抜けな言葉を言う光太郎。この辺だけは、昔のままだった。
「お願い……」
「な、なに泣いているんだよ。あ、いや、ごめん。意味不明だけどごめん。参ったな……アプロー」
にわかに慌てだす光太郎。
すがりついたまま泣いたアプローは、泣いたまま顔をあげた。
「……しよう」
「は?」
「結婚、しよう。ライラプスがからかうみたいのじゃなくて、本当に」

光太郎の目が、点になった。

「あ、え、いや、どこからそんな急展開が」照れながら光太郎。
「私じゃ嫌?どんなにお願いしても駄目?」畳み掛けるアプロー。
「ああ、いや、そういうわけでは、だから、なんで」
雰囲気に呑まれて光太郎は、ほとんどうんと言いそうだった。この辺だけは、昔のままだった。
「コウタローがいなくなること考えたら、泣いたから。だから、私……」

その言葉で何かを思い出して驚く光太郎。そしてしばらくの後目をさまよわせた後、音もなく、口元だけわななかせて透明な涙を流した。
「そうか」下を見る光太郎。

そして光太郎は、顔をぐちゃぐちゃにした後、笑ってアプローを抱き寄せた。今度はアプローが驚く番だった。
「分かった。結婚しよう」

2度も同じ間違いをしたくないと、光太郎は、そう思いながら言った。

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