最終日(夜)46 コウタロー&アプロー どかんどかん

 鍋の国は、祭りの中にある。

一組の男女が人ごみの中を歩いていた。
「それでへんなアイドレスを見たんだよ。人型をしていない、そんなやつだった」
コウタローは、今日の仕事の話をした。
「帝國のアイドレスかな」
少し面白くなさそうに、アプロー。
「それだったら撃ってくると思うんだよな。機位が安定してないから支えたんだ」
コウタローが頭の中で報告書を考えながらそう言うと、アプローは金髪を揺らして怒った。
「もうっ」
怪獣のように歩くとついて浮いてしまう。アプローはだから、飛んだ。
「ちょ、何怒ってるんだよ」
追いかけるコウタロー。
「私と歩いていても何も思わないわけね」
こんなこと言っているが、アプロー、凄く嬉しい。コウタローがついてくるというのは、嬉しかった。


「何もって」
参ったなあと思う光太郎。
アプローは少しだけ光太郎を見て、もっと困らせたいと思った。
「そりゃ美人じゃないわよ。太陽焼けしてるし。凄く気にしてる」
「そばかすのこと?」
「その名前で言わないで! すごい気にしてるんだから」
そして自分で言って、ちょっとへこんだ。乙女心は複雑であった。

続く言葉は小声になる。言い訳がましくなる。
「でも仕方ないじゃない。民間偵察会社の見習いの安月給で帰るほど日焼けクリームは安くないのよ」
「いいじゃん、別に、それぐらい」
「嘘ばっかし。じゃあなんで、報告書に書くようなことを言うの?」
「あー。あー!」
コウタローはいまさらやっと、歳の差にして7つくらいしたの娘が、構って欲しいのだという単純な事実に気付いた。

「ごめん」コウタロー、素直である。
「どうしよっかな」
もう許している感じで、アプロー。気に掛けられているのが、嬉しい、嬉しい。

「日焼けクリームでもプレゼントするよ」コウタローは何日か分からないが、昼飯を飛ばすことにした。
「そんなに高くなくていい」
アプローはそう言った後で、小さく付け加えた。
「かわりに一緒に歩こう?」
「分かった。お安い御用だ」
コウタローは、笑って見せた。

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