14日目(夜)45 式神の城コース4 どかん

 光太郎は祭壇の上で、昏々と眠りについている。

 金大正は光太郎を中心として部屋全体に大きな術式を書いた。
蝋燭を立て、豚の頭を並べ、あらゆる方向に色を置き、香をたいて印を結び、呪いを遷そうとした。

 何事かを唱えた瞬間に電撃とも小さな爆発とも言えるものが発生し、動かぬ金大正の身体を揺らした。金の血が、額から飛んで、白い床に落ちた。

「勝手に魔法陣の模様がかきかわっています。これは……」
「どんな全知全能の存在がいればこれだけのことをできるのかしらね」
ふみこはそう言った後、相手が誰だろうと光太郎の顔を苦しみで歪めたのだから許さないと思った。

手を伸ばし、消えていく魔力を集めてやれればと思う。そうしたら髪を振り乱してでも集めてやるのに。

「もう一度、やります」
金は血もぬぐわずに言った。
「お願いするわ」
ふみこは言った。今のところ、他に手はなかった。何の手も。
金は笑いもせず、何かを言うこともなく、最初からまた文様を描き始めた。

おろおろする小夜が、金に包帯を届けようとした。
「やめてください!」という、普段金からは聞かない激しい声に身を震わせる小夜。
金は片目をつぶりながらすみませんといい、術式が終わるまでは、すみませんと言うに止めた。

ふみこは小夜を見ようともしなかった。腕を組んで、動かずに光太郎を見ていた。
「ふみこさん」
小夜が声をかけると、ふみこは口の中で何かをつぶやいた。
「ふみこさん」
小夜は、もう一度言った。
「近づくな。役立たず」
ふみこは聞こえるように言うと彼女としてはいささか百年ぶりかで、少し泣いた。顔に手を当てて泣いた。

立ち尽くす小夜を見ずにふみこは言った。
「お前がついていて何をしていた。かけるところを見ていたのなら呪いを防げたはずよ」
「あの時は見つめられただけで、あの」
そこまで言って、小夜は絶句した。
「もういい」
ふみこは小さく言った。
「戦闘しか能がない貴方がいても、何の役にも立たないわ。貴方が殺せるか壊せるものが来たら教えてあげる。だから、今はここからいなくなって。あやまれというのなら、どれだけでもあやまるから」

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 13

なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた 驚いた
面白い 面白い
ナイス ナイス ナイス
ガッツ(がんばれ!) ガッツ(がんばれ!)
かわいい かわいい