14日目(夜)44 ペロ大ピンチ(2)

 銀河最大級の船は、ポチ王女の屋敷である。彼女はここで生まれ、おそらくは一度も外に出ることもなく人生を終わることになるだろう。

 そのせいかポチは、外の世界から流れてきたペロの話を面白がった。
ポチは行儀悪くあぐらをかいてゲームを遊びながら、説明を聞くのが好きである。

この赤いのはなに? ポストってなに? という感じである。
ポチはメールは知っていても、手紙は知らない。そもそも自分で文字は書いたことがなかった。

「不便なのね」
「お前のところほどじゃない」
「……そうかも」
いじけるポチ。ペロの腕時計が振動で時間が来たとペロに伝えた。

ペロは仕事に戻るとだけ言って、外に出た。

「また遊ぼうね」王宮の窓から落ちそうになりながらポチは言った。
「運がよければ」
表情も変えずにペロ。

静かな王宮から一歩出れば、そこは既に戦闘体制である。

いたるところに戦闘の状況を伝えるディスプレイが空中投影され、
<敵、根源種族艦隊。規模、100前後。ゲートシフト。詳細不明>

 ペロは腰にぞんざいに差したNP-00でゲートシフト。工場に2秒で戻った。

<お帰りなさい。ペロ課長>
「MAKI、出撃の準備は?」
ペロは小さな小箱を弄びながらそう言った。

<出来ています。既に味方のGH、GDは出撃を開始しています>
「敵は100だそうだ。勝てると思うか?」
<難しいと思われます。帰還しますか?>
「いや、やめておこう。俺はまだいい言葉を思いついてない。それに」
<ポチ王女、ですか?>
「いや、だがまあ、同じようなものか。彼女をおいておくと、きっと誰かに怒られる」

ペロはふと笑って新しい機体を見上げた。

「出撃する」
<水中装備のままでは危険です>
「構わない」
<せめて操縦系をヤガミベースではなくアリアンベースに変更してください>
「そのままでいく。いいテストだ」

そしてヘタレの心意気を言った。
「いつまでも知恵者の触った機体なんか使わせるか」