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zoom RSS リターントゥ神々の宴(24)

<<   作成日時 : 2006/11/14 01:05   >>

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一方その頃。

 光太郎と月子は、もう寝る時間だった。晋太郎も英太郎も、子供を大人の時間に生きさせるようなことはしない。だから光太郎は今でも9時になると眠っていた。土曜だけは夜更かしが許されて10時に寝ることになっていた。

 光太郎は、この頃も寝るのが大好きである。9時近くになると進んでパジャマに着替えて布団の上で転がっていた。好きなのはもう一つ、兄がお話を読んで聞かせるためである。
晋太郎は、祖父英太郎が物語作家として書いた本を良く光太郎に聞かせていた。偉大な魔術師が書いた物語は、それだけで魔術の力がある。

 だが、その日は、英太郎の話ではなかった。
晋太郎は光太郎に魔術の話を光太郎に聞かせようとしていた。魔術がなくなって、自分がいない時だと分かっていても、彼は光太郎を魔術師にしたいと考えていた。
祖父は光太郎の身の内に魔力がまったくない=才能がないことを理解して魔術師に育てようとはしなかったが、晋太郎は、この点だけは祖父の見立てに反して光太郎には高い潜在力があると言い張った。 そう信じたがっているようだった。

 英太郎が義手から銀の剣を出して、雨の中叫びながらさらに速度を上げた頃、光太郎は月子と並んで同じ布団から顔を出して、翔は家族旅行にはいけるかもしれないけど、こんな時間は過ごしてないだろうと考えて、笑った。

「ねえ、どんな話なの?」
「神様の話をしようか」優しい晋太郎。
「神様?」

光太郎の言葉に、一緒に寝転ぶ晋太郎は優しくうなずいた。この世界において魔術は神であり、神は魔力である。
魔術の第一歩は神の概念の理解であった。

遠く、祖父の思念が戦いを演じていることを感じながら、晋太郎は物語を語り始める。
矢も盾もたまらず祖父を手助けに行きたいと思ったが、同時に晋太郎は、光太郎を守りたいと考えていた。セプテントリオンが動いていて、ひさかたぶりに神々が動いている。そんなときに光太郎や月子を置いて、晋太郎は動きたくなかった。

 せめて、と、英太郎に必勝の祈念を送りながら晋太郎は優しく語り始める。

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 雨の中、英太郎は優しく笑った。
孫の祈りを、その背に感じたのだった。

心配で光太郎をさらに心配させなければいいんだが。
英太郎は戦闘中とは思えないことを思いながら、魔術を口ずさみ、さらに速度を上げた。
敵との相対速度差は600kmに近い。

1秒で170mくらいか。

勝負は一瞬。

英太郎は残った魔力を振り絞るように速度を上げ続ける牛の神に同情を覚えながら狙い定める。

/*/

 光太郎の前髪やさしく触れて、ついでに月子も寂しくないように同じように触れて、晋太郎は口を開いた。心の中では10、9、8と数を数えている。

「世は過去、現在、未来を意味し、界は東西南北上下を意味する。だから世界というものは我々の知る事が出来る全部を意味する」

お祖父ちゃん。 晋太郎は心の中でそう言った。

「世界にはいろいろなものがある。我々の知る事が出来る全部があるから世界。
その中で重要なのは二つ。あるか、ないか。そしてあるものが、かみか、どうか」

死んじゃだめだよ。

「かみとはうえだ。我々よりうえにあるかどうか、われわれよりうえにあればそれはかみだ。それがいいか悪いかは関係なく、ただそれは、かみだ」

貴方は僕より長生きして、そして光太郎と月子を育てるんだ。

光太郎は、妙な顔をした。だったら先生も神様?
すごければそうだねと、晋太郎はいい、言葉を続けた。

「我々はかみと付き合い方を考えなければいけない。仲良くする時もあれば、使役する時もある、不幸にも戦って殺さなければならない時も、よくある」

/*/

場面は戻る。

5、4、3。

 時が来る直前、英太郎は口から歌を歌い始めた。この世界ではない、遠い世界の歌だった。
銀の剣には光が集まり、雨粒すら刃には届かなかった。

壬生谷殿が呪文を完成させることを防ぐ。

既に天は轟雷を呼ぶ勢いであり、英太郎は走りながら銀の腕を構え、そしてまっすぐ投擲した。

 銀の剣が廻りもせずに飛んでいく。音速を超え、周囲の雨もフェンスも吹き飛ばしながら、飛んだ。

牛の神と火車は、曲がりきれずに正面から銀の剣を受けることになる。

腕を伸ばし、障壁を張って銀の剣を止める火車。巨大な火花が上がり、上がり続ける。
障壁を小さくして集中防御を始める牛の神。
驚愕に見開かれる牛の神の瞳。

銀の剣は、囮だった。

牛の神の瞳に映ったのは遠いどこかの世界の歌を歌う英太郎の姿だった。
英太郎は銀の剣の上から跳んで現れ、そして銀の腕を青く輝かせて絶技を完成させる。

「完成せよ! 精霊手」

 頭を吹き飛ばされた牛の神が、燃え上がった。

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